LESSON 01

地層を変形させる力

力の向きからしゅう曲・断層・隆起・沈降を説明しよう

「地層を変形させる力」第3段階。観察された変形と圧縮・引っ張り・せん断、隆起・沈降を、証拠・仕組み・限界に分けて説明する。

力の向きからしゅう曲・断層・隆起・沈降を説明しよう

まず知る

このレッスンの役割と到達目標

このレッスンは「地層を変形させる力」6レッスン中の3番目です。前のレッスンでは、層の模型を押す・引く・ずらすとき、ほかの条件をそろえて結果を比べました。今回は、その操作を圧縮・引っ張り・せん断という言葉で整理し、しゅう曲、断層、隆起、沈降がどのように生じうるかを説明します。ここで因果関係を言葉にできると、次の地質断面図で「見えている形」から変位を読み取る準備ができます。

中心技能は、観察した変形と、考えられる力の向きを「証拠→仕組み→限界」の順で説明することです。形と用語を一対一で丸暗記せず、矢印を自分で描きながら学びましょう。

まず四つの言葉を区別します。

言葉 観察できること 仕組みとして考えること
しゅう曲 地層が波のように曲がって続く 岩石が割れきらず、長い時間をかけて変形した可能性
断層 地層や岩盤が切れ、両側がずれている 岩石に割れが生じ、割れ目に沿って相対的に動いた
隆起 広い範囲の土地が相対的に高くなる 地殻の運動などで土地が持ち上がった可能性
沈降 広い範囲の土地が相対的に低くなる 地殻の運動などで土地が下がった可能性

しゅう曲と断層は、主に岩石や地層の「形・切れ目・ずれ」を表す言葉です。隆起と沈降は、ある基準に対して土地が「高くなる・低くなる」という広い範囲の変化を表します。同じ種類の言葉ではないので、「しゅう曲の反対が沈降」のようには並べません。

力の向きと地層の変形の関係圧縮、引っ張り、せん断の矢印と、しゅう曲や断層として現れうる代表的な地層の形を並べる。下段には土地全体が上がる隆起と下がる沈降を示す。圧縮しゅう曲、または断層の候補引っ張り割れと相対的なずれの候補せん断横ずれを含む断層の候補隆起:土地が高くなる沈降:土地が低くなる

図の「候補」という言葉が重要です。力の向きと結果は単純な一対一ではありません。岩石の性質、温度、圧力、変形する速さ、地下の深さなどによって、同じ圧縮でも曲がる場合と割れる場合があります。

理解する

圧縮は、物体を両側から押して短くしようとするはたらきです。地層が長い時間をかけて圧縮され、岩石がゆっくり変形できる条件なら、層が波のように曲がるしゅう曲が生じることがあります。一方、岩石が割れやすい条件なら、圧縮でも断層が生じます。したがって「圧縮=しゅう曲」とだけ覚えるのは不十分です。

引っ張りは、物体を両側へ引き離して長くしようとするはたらきです。岩盤に割れ目ができ、両側が相対的にずれる断層につながることがあります。せん断は、物体の隣り合う部分を互いに反対向きへずらそうとするはたらきです。地表面と平行なずれを含む断層の仕組みを考える手がかりになります。

ここで「相対的」という言葉を使います。断層の左側が右側より高く見えても、左側だけが上がったとは限りません。右側が下がった、両側が異なる量だけ動いた、断面の切り方によってそう見えた、という可能性もあります。断面図から直接読めるのは、基本的に「両側の位置関係」です。

隆起・沈降でも基準が必要です。海面や周囲の土地などに対して高くなれば隆起、低くなれば沈降と考えます。ただし、海岸線が陸側へ移ったからといって、必ず土地が沈降したとは限りません。海面そのものの高さが変化する場合もあるためです。土地の高さの変化と海面の変化を区別します。

科学的な説明は次の三段階で組み立てます。

  1. 証拠:地層がどのように曲がる、切れる、ずれる、高さが変わるか。
  2. 仕組み:圧縮、引っ張り、せん断、広域的な上下運動のうち、何が説明に役立つか。
  3. 限界:その資料だけでは何を一つに決められないか。

「断層がある」という観察事実と、「どの向きの力が働いた」という解釈を分けると、証拠より先に結論を決める誤りを防げます。

使う

証拠から説明する具体例

ある露頭で、砂岩の層と泥岩の層が交互に重なり、中央付近で上向きに大きく曲がっていました。層は曲がった部分でもつながっており、はっきりした切れ目は確認できませんでした。

この資料から直接言える証拠は、「同じ層が連続したまま曲がっている」です。これをしゅう曲と判断できます。両側から押す模型で似た曲がりができたことから、圧縮が関係した可能性を考えられます。ただし、露頭だけで、力が加わった大きさや期間、地下の温度、変形した正確な時代までは決められません。

答えは次のように書けます。

「砂岩層と泥岩層が切れずに連続したまま上向きに曲がっているため、しゅう曲と判断できる。圧縮によって地層がゆっくり変形した可能性がある。ただし、この露頭だけから力の大きさや変形の時期までは特定できない。」

別の断面では、同じ火山灰層が斜めの面で切られ、右側の火山灰層が左側より30 m低い位置にありました。観察事実は「同じ目印層が切れ、断層面の両側で相対的に30 mずれている」です。ここで「右側が30 m下へ動いた」と断定するには、断面の方向やほかの地質構造も必要です。

資料で見つけたこと 言える用語 仕組みの候補 まだ言えないこと
層が連続したまま曲がる しゅう曲 圧縮など 力の大きさ・時期
層が切れて左右でずれる 断層 圧縮・引っ張り・せん断など 実際の三次元の移動方向
海成層が高い場所に広く分布 隆起の証拠候補 地殻の上下運動など 海面変化との区別前の断定
ある地域が周囲より継続的に低下 沈降の証拠候補 地殻の上下運動など 原因を一つに限定すること

この表の使い方は、左から右へ進むことです。最初から「圧縮だ」と決めず、まず観察事実を言葉にします。

転用する

初めて見る地形資料へ使う

海岸近くの平らな土地から貝の化石を含む地層が見つかり、同じ層が現在の海面より80 m高い丘の上まで続いていたとします。貝化石だけでは、必ず海の生物とは限らない種類もあるため、地層の粒やほかの化石も調べます。海で堆積したと判断できる証拠がそろえば、その地層ができた後に土地が相対的に高くなった、つまり隆起した可能性を考えられます。

しかし、現在より海面が低かった時期や海面変化も関係します。土地の隆起量を80 mとそのまま決めることはできません。未知の資料では、観察・解釈・限界の三つを分けることが転用の鍵です。

間違いを直す

「地層が曲がっているから、岩石が一度溶けた」は誤りです。岩石は固体のままでも、地下で高い圧力を受け、長い時間をかければ変形することがあります。「断層があるから、今も地震が起きている」も誤りです。断層は過去のずれの記録です。現在の活動性を判断するには、最近の地層のずれや観測記録など、別の証拠が必要です。「丘になったから隆起した」も短絡的です。侵食で周囲が削られ、相対的に高く残った可能性も比べます。

確認チェック

確認1:中心技能を直接確かめる同じ地層が切れずに波状に曲がる資料では、観察事実は「層が連続したまま曲がる」、用語は「しゅう曲」、仕組みの候補は「圧縮など」です。力の大きさや時期は、その資料だけでは決められません。
確認2:誤解を見抜く「圧縮なら必ずしゅう曲」は誤りです。岩石の性質や温度、圧力、変形速度などにより、圧縮でも断層が生じることがあります。
確認3:別の資料へ移す断層の両側で目印層に20 mの高低差があるとき、まず言えるのは相対的な上下変位です。片側だけが20 m動いたと決めず、断面の方向と周囲の地層を確かめます。

まとめと次へのつながり

力の向きは変形を説明するためのモデルであり、観察された形と必ず一対一になるわけではありません。次は地質断面図で同じ目印層を対応させ、断層面の両側のずれと相対的な上下変位を、数値を使って読み取ります。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。