LESSON 01

示相化石で昔の環境を知る

示相化石と生息環境の対応を意味から覚えよう

示相化石の意味を、生物の生息条件と結び付け、代表例が示す昔の環境を理由から理解する。

示相化石と生息環境の対応を意味から覚えよう

まず知る

このレッスンの役割と到達点

前のセクションでは、柱状図から地層の位置や広がりを読みました。ここからは、その地層に含まれる化石を使い、地層ができたときの環境を考えます。最初の仕事は、示相化石という言葉の意味と、代表例が示す環境を理由とともに理解することです。

示相化石は、地層ができた当時の環境を推定する手がかりになる化石です。「相」は、地層が示す環境のようすを表します。役立つのは、生物ごとに暮らせる水温、塩分、水深、陸上の気候などが限られているからです。

化石の例 生息環境の手がかり 覚える理由
サンゴ 暖かく浅い海 光が届く温暖な浅海で育つ種類が多い
アサリ 浅い海 海岸近くの砂や泥の底で暮らす
シジミ 河口や湖などの淡水・汽水域 海水より塩分の低い水域に暮らす
ブナの葉 比較的冷涼な陸上気候 冷涼で湿り気のある地域に分布する

これらは中学校で使う代表的な対応です。実際の環境推定では、種類の詳しい同定や周囲の岩石など、ほかの証拠も合わせます。

理解する

「化石名→環境」だけでなく、生息条件でつなぐ

陸地、河口、浅い海に対応する示相化石冷涼な陸上のブナ、淡水と海水が混じる河口のシジミ、浅い海のアサリ、暖かく浅い海のサンゴを環境条件と結ぶブナ比較的冷涼な陸上シジミ河口・湖・汽水アサリ浅い海サンゴ暖かく浅い海生物の暮らせる条件が、昔の環境をしぼる

サンゴを例に考えます。サンゴ化石が地層に含まれるという観察と、サンゴの多くが暖かく浅い海に生息するという知識を結ぶと、その地層は暖かく浅い海で堆積した可能性が高い、と推定できます。

大切なのは「化石が環境を作った」のではないことです。環境条件に合う生物がそこで暮らし、死後に遺骸が堆積物へ埋まり、化石として残りました。化石は環境の結果として残った証拠です。

示相化石は環境を、示準化石は地層ができた年代を調べるときに使います。「相=環境」「準=年代の基準」と役割で区別すると、名前だけの丸暗記より忘れにくくなります。

使う

代表例を理由から選ぶ

例題1:ある泥岩からシジミの化石が多く見つかりました。何を推定できますか。

シジミは海水と淡水が混じる河口など、塩分が低い水域にも暮らします。したがって、地層ができた場所は河口や湖などの淡水・汽水環境だった可能性があります。「海だった」とだけ答えるより、塩分という条件まで示すと根拠が明確です。

例題2:山地の地層からサンゴ化石が見つかりました。昔も山だったのでしょうか。

現在の地形と、地層ができた当時の環境は同じとは限りません。サンゴ化石なら、その地層ができた当時は暖かく浅い海だった可能性があります。その後、隆起して現在の山地になったと考えます。

学び方を選ぶ

代表例はカードで反復すると覚えやすいですが、表の右列に必ず「なぜ」を書きます。

  • 表:サンゴ
  • 裏:暖かく浅い海。水温と水深が限られるため。

答えだけでなく理由も言える状態を完成とします。

転用する

未知の化石でも条件から考える

問題に見たことのない生物Xが出ても、「Xは塩分の高い浅海だけに生息する」と資料にあれば、示相化石として使えます。化石名を知らなくても、生息条件が狭いか、地層から見つかったかを確認すればよいのです。

一方、広い水温・水深・塩分で暮らせる生物は、見つかっても環境を細かくしぼれません。示相化石として役立つかは、珍しいかではなく、生息環境がどれほど限られるかで判断します。

次のレッスンでは、化石名だけを取り出さず、化石の数・保存状態・向き・周囲の岩石・柱状図上の位置をセットで記録します。

確認1:直接確認暖かく浅い海の手がかりになる代表的な化石は何ですか。サンゴです。生息できる水温と水深が限られることが理由です。
確認2:誤りを見抜くサンゴ化石が山で見つかったので、サンゴは山に暮らしていたと考えました。どこが誤りですか。現在の地形と堆積当時の環境を混同しています。堆積後の隆起を考えます。
確認3:初見資料へ転用生物Yは冷たい淡水だけで暮らすと資料にあります。Yの化石を含む地層から何を推定できますか。冷たい淡水環境で堆積した可能性が高いと推定できます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。