示相化石と生息環境の対応を意味から覚えよう
まず知る
このレッスンの役割と到達点
前のセクションでは、柱状図から地層の位置や広がりを読みました。ここからは、その地層に含まれる化石を使い、地層ができたときの環境を考えます。最初の仕事は、示相化石という言葉の意味と、代表例が示す環境を理由とともに理解することです。
示相化石は、地層ができた当時の環境を推定する手がかりになる化石です。「相」は、地層が示す環境のようすを表します。役立つのは、生物ごとに暮らせる水温、塩分、水深、陸上の気候などが限られているからです。
| 化石の例 | 生息環境の手がかり | 覚える理由 |
|---|---|---|
| サンゴ | 暖かく浅い海 | 光が届く温暖な浅海で育つ種類が多い |
| アサリ | 浅い海 | 海岸近くの砂や泥の底で暮らす |
| シジミ | 河口や湖などの淡水・汽水域 | 海水より塩分の低い水域に暮らす |
| ブナの葉 | 比較的冷涼な陸上気候 | 冷涼で湿り気のある地域に分布する |
これらは中学校で使う代表的な対応です。実際の環境推定では、種類の詳しい同定や周囲の岩石など、ほかの証拠も合わせます。
理解する
「化石名→環境」だけでなく、生息条件でつなぐ
サンゴを例に考えます。サンゴ化石が地層に含まれるという観察と、サンゴの多くが暖かく浅い海に生息するという知識を結ぶと、その地層は暖かく浅い海で堆積した可能性が高い、と推定できます。
大切なのは「化石が環境を作った」のではないことです。環境条件に合う生物がそこで暮らし、死後に遺骸が堆積物へ埋まり、化石として残りました。化石は環境の結果として残った証拠です。
示相化石は環境を、示準化石は地層ができた年代を調べるときに使います。「相=環境」「準=年代の基準」と役割で区別すると、名前だけの丸暗記より忘れにくくなります。
使う
代表例を理由から選ぶ
例題1:ある泥岩からシジミの化石が多く見つかりました。何を推定できますか。
シジミは海水と淡水が混じる河口など、塩分が低い水域にも暮らします。したがって、地層ができた場所は河口や湖などの淡水・汽水環境だった可能性があります。「海だった」とだけ答えるより、塩分という条件まで示すと根拠が明確です。
例題2:山地の地層からサンゴ化石が見つかりました。昔も山だったのでしょうか。
現在の地形と、地層ができた当時の環境は同じとは限りません。サンゴ化石なら、その地層ができた当時は暖かく浅い海だった可能性があります。その後、隆起して現在の山地になったと考えます。
学び方を選ぶ
代表例はカードで反復すると覚えやすいですが、表の右列に必ず「なぜ」を書きます。
- 表:サンゴ
- 裏:暖かく浅い海。水温と水深が限られるため。
答えだけでなく理由も言える状態を完成とします。
転用する
未知の化石でも条件から考える
問題に見たことのない生物Xが出ても、「Xは塩分の高い浅海だけに生息する」と資料にあれば、示相化石として使えます。化石名を知らなくても、生息条件が狭いか、地層から見つかったかを確認すればよいのです。
一方、広い水温・水深・塩分で暮らせる生物は、見つかっても環境を細かくしぼれません。示相化石として役立つかは、珍しいかではなく、生息環境がどれほど限られるかで判断します。
次のレッスンでは、化石名だけを取り出さず、化石の数・保存状態・向き・周囲の岩石・柱状図上の位置をセットで記録します。
確認1:直接確認
暖かく浅い海の手がかりになる代表的な化石は何ですか。サンゴです。生息できる水温と水深が限られることが理由です。確認2:誤りを見抜く
サンゴ化石が山で見つかったので、サンゴは山に暮らしていたと考えました。どこが誤りですか。現在の地形と堆積当時の環境を混同しています。堆積後の隆起を考えます。確認3:初見資料へ転用
生物Yは冷たい淡水だけで暮らすと資料にあります。Yの化石を含む地層から何を推定できますか。冷たい淡水環境で堆積した可能性が高いと推定できます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。