温度と液性で酵素の働きが変わる理由を説明しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「酵素が働く条件」6レッスンの3番目です。前回は、温度だけを変えるだ液実験を組み立てました。ここでは、結果の違いを「酵素と栄養分が出会うこと」と「酵素の働きに適した形」という模型で説明します。
さらに、胃では酸性、小腸では中性に近い環境になることと、そこで働く酵素の違いを結びます。
知る・理解する
酵素には、働く相手がはまりやすい部分があると模型で考えられます。相手となる栄養分がその部分に合うと、分解の反応が進みやすくなります。この模型は「なぜ酵素ごとに働く相手が違うか」を説明するためのものです。
低温では、酵素と栄養分の動きが遅く、出会う回数が少なくなるため、一定時間内の反応が少なくなります。適した温度では出会いが増え、酵素の形も保たれるため反応が進みます。高温では酵素の形が大きく変わり、栄養分が合わなくなって働きを失うことがあります。
液性でも酵素の働きやすい形が変わります。胃液の酵素は酸性の胃で働きやすく、すい液や腸液の酵素は小腸の環境で働きやすいものがあります。「酸性は酵素を全部壊す」のではなく、酵素ごとに適した範囲が違います。
具体例で使う
0℃で反応しなかった試験管Aを37℃へ移すと反応が始まり、80℃で処理した試験管Cを37℃へ移しても反応しなかったとします。Aでは低温で出会いが少なかったものの酵素の形は保たれ、温度を上げると働いたと説明できます。Cでは高温で形が変わり、温度を戻しても働きにくかったと説明できます。
胃液中の酵素を小腸に近い液性へ移したら働きが弱くなった、という結果も同じ見方で説明できます。その酵素は胃の酸性条件で働きやすく、液性が変わると働きにくくなった可能性があります。
ただし、模型だけで結論を決めません。酵素を入れない対照や、温度・液性を戻した追加実験の結果と一致するかを確かめます。
誤答を直して次の学びへつなげる
低温と高温は、どちらも「反応が少ない」という同じ結果を生むことがあります。しかし理由は同じとは限りません。低温は主に反応が遅くなること、高温は酵素の働きに必要な形が変わることとして区別します。
「胃は酸性だから酵素が働かない」は誤りです。胃液中には酸性で働きやすい消化酵素があります。全ての酵素に共通する一つの最適条件があるのではなく、酵素の種類ごとに違います。
次は、温度別の生成物量や反応時間を読み、どの範囲で最も働いたかを資料から判断します。
自分で確かめよう
確認1:低温で反応が遅くなる理由を模型で説明しよう
酵素と栄養分の動きが遅くなり、一定時間内に出会う回数が少なくなるためです。確認2:高温処理後に冷ましても働きが戻らない理由は?
高温で酵素の働きに必要な形が変わり、栄養分と合いにくくなった可能性があるからです。確認3:胃の酸性条件でも酵素が働くのはなぜ?
酵素ごとに働きやすい液性が異なり、胃液中の一部の酵素は酸性で働きやすいからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。