LESSON 01

酵素が働く条件

温度と液性で酵素の働きが変わる理由を説明しよう

「酵素が働く条件」第3段階。低温・適温・高温と液性の違いを酵素模型で説明します。

温度と液性で酵素の働きが変わる理由を説明しよう

このレッスンの役割

このレッスンは「酵素が働く条件」6レッスンの3番目です。前回は、温度だけを変えるだ液実験を組み立てました。ここでは、結果の違いを「酵素と栄養分が出会うこと」と「酵素の働きに適した形」という模型で説明します。

さらに、胃では酸性、小腸では中性に近い環境になることと、そこで働く酵素の違いを結びます。

知る・理解する

酵素には、働く相手がはまりやすい部分があると模型で考えられます。相手となる栄養分がその部分に合うと、分解の反応が進みやすくなります。この模型は「なぜ酵素ごとに働く相手が違うか」を説明するためのものです。

低温では、酵素と栄養分の動きが遅く、出会う回数が少なくなるため、一定時間内の反応が少なくなります。適した温度では出会いが増え、酵素の形も保たれるため反応が進みます。高温では酵素の形が大きく変わり、栄養分が合わなくなって働きを失うことがあります。

液性でも酵素の働きやすい形が変わります。胃液の酵素は酸性の胃で働きやすく、すい液や腸液の酵素は小腸の環境で働きやすいものがあります。「酸性は酵素を全部壊す」のではなく、酵素ごとに適した範囲が違います。

温度と液性が酵素の形と反応へ与える影響の模型 低温では出会いが少なく、適温・適した液性では酵素のくぼみに栄養分が合い、高温や不適切な液性では形が変わって合わなくなることを示す。 反応には「出会う」と「形が合う」の両方が必要 低温 形は保つが、出会いが少ない 適温・適した液性 出会い、くぼみに合って反応 高温・不適切な液性 形が合わず反応しにくい 模型は目に見えない仕組みを説明する道具 実際の形はもっと複雑で、結果は実験で確かめる

具体例で使う

0℃で反応しなかった試験管Aを37℃へ移すと反応が始まり、80℃で処理した試験管Cを37℃へ移しても反応しなかったとします。Aでは低温で出会いが少なかったものの酵素の形は保たれ、温度を上げると働いたと説明できます。Cでは高温で形が変わり、温度を戻しても働きにくかったと説明できます。

胃液中の酵素を小腸に近い液性へ移したら働きが弱くなった、という結果も同じ見方で説明できます。その酵素は胃の酸性条件で働きやすく、液性が変わると働きにくくなった可能性があります。

ただし、模型だけで結論を決めません。酵素を入れない対照や、温度・液性を戻した追加実験の結果と一致するかを確かめます。

誤答を直して次の学びへつなげる

低温と高温は、どちらも「反応が少ない」という同じ結果を生むことがあります。しかし理由は同じとは限りません。低温は主に反応が遅くなること、高温は酵素の働きに必要な形が変わることとして区別します。

「胃は酸性だから酵素が働かない」は誤りです。胃液中には酸性で働きやすい消化酵素があります。全ての酵素に共通する一つの最適条件があるのではなく、酵素の種類ごとに違います。

次は、温度別の生成物量や反応時間を読み、どの範囲で最も働いたかを資料から判断します。

自分で確かめよう

確認1:低温で反応が遅くなる理由を模型で説明しよう酵素と栄養分の動きが遅くなり、一定時間内に出会う回数が少なくなるためです。
確認2:高温処理後に冷ましても働きが戻らない理由は?高温で酵素の働きに必要な形が変わり、栄養分と合いにくくなった可能性があるからです。
確認3:胃の酸性条件でも酵素が働くのはなぜ?酵素ごとに働きやすい液性が異なり、胃液中の一部の酵素は酸性で働きやすいからです。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。