酵素は条件によって働き方が変わると捉えよう
このレッスンの役割
このレッスンは「酵素が働く条件」6レッスンの1番目です。前のセクションでは、だ液・胃液・すい液などが栄養分を小さな物質へ分解することを学びました。ここでは、同じ酵素でも、置かれた条件によって働き方が変わることをつかみます。
今日の問いは「だ液をデンプンに加えたのに、いつでも同じ速さで分解されるのか」です。結論を先に言えば、温度、液性、時間などによって結果は変わります。次の実験を理解するための見取り図をつくります。
知る・理解する
消化酵素は、特定の栄養分が別の物質へ変わる反応を進みやすくします。だ液中のアミラーゼなら主にデンプン、胃液中のペプシンなら主にタンパク質へ働きます。このように、酵素には働く相手がある程度決まっています。
しかし、「酵素と栄養分が同じ試験管にあれば必ず反応する」わけではありません。温度が低いと粒子の動きがゆっくりになり、出会う回数が少なくなります。体温に近い適した温度では反応が進みやすくなります。高すぎる温度では酵素の形が変わり、働きを失うことがあります。
液性も重要です。口の中、胃、小腸では液性が異なり、それぞれの場所で働く酵素には得意な液性があります。つまり、消化管には消化液を置くだけでなく、酵素が働きやすい環境をつくる役割もあります。
具体例で使う
冷蔵庫から出したばかりのだ液とデンプンの混合物では、体温付近より反応が遅いと予想できます。しかし、反応が遅いことは「だ液がなくなった」という意味ではありません。温度を適した範囲へ戻すと、再び働きやすくなる可能性があります。
一方、だ液を十分に煮沸した後で冷ましてデンプンへ加えても、働きは戻りにくいと予想されます。高温によって酵素の形が変わったためです。この違いを実験で確かめるには、低温の試験管も高温処理後の試験管も、最後は同じ温度にそろえて反応させます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「酵素は栄養分と一緒に使い切られる」という捉え方は適切ではありません。酵素は反応を助け、自身は反応の前後で基本的に同じように働けるため、少量でも繰り返し反応に関われます。
「人の体の酵素なら、どれも体温でしか働かない」も言い過ぎです。体温付近で働きやすいものが多い一方、酵素の種類や液性によって働きやすい範囲は異なります。実験結果から、その酵素について言える範囲を決めます。
次は、だ液とデンプンを使い、温度だけを変えて比べる実験を設計します。
自分で確かめよう
確認1:同じ酵素と栄養分でも結果が変わる主な条件を二つ挙げよう
温度と液性です。ほかに反応時間、酵素や栄養分の量も結果へ影響します。確認2:低温で反応しなかったら、酵素はなくなったと言える?
言えません。低温で反応が遅くなった可能性があるため、適した温度へ戻して働くかを確かめます。確認3:煮沸しただ液を冷ましても働きにくいのはなぜ?
高温によって、だ液中の酵素の働きに必要な形が変わった可能性があるからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。