温度別データから最も働く範囲を読もう
このレッスンの役割
このレッスンは「酵素が働く条件」6レッスンの4番目です。前回は、温度と液性による違いを模型で説明しました。今回は、生成物量や反応時間の表・グラフから、酵素の働きの強さを比較します。
目標は、数値が大きければいつもよく働いたとは限らないことと、測定していない温度まで正確に断定できないことを理解することです。
知る・理解する
同じ量のデンプンを分解させ、10分後にできた糖の量を測ったとします。
| 温度 | 10分後の糖の量 |
|---|---|
| 10℃ | 2 mg |
| 20℃ | 5 mg |
| 30℃ | 9 mg |
| 40℃ | 12 mg |
| 50℃ | 6 mg |
| 60℃ | 1 mg |
時間、酵素量、デンプン量が同じなら、生成物である糖が多いほど、その10分間に反応がよく進んだと考えられます。この表では、測定した温度の中では40℃が最大です。
ただし、「この酵素の最適温度は正確に40.0℃」とは言えません。35℃や38℃、42℃を測っていないからです。正確には「測定した温度の中では40℃で最もよく働いた」または「30~50℃の間に最も働く温度があると考えられる」と表します。
具体例で使う
別の実験では、「同じ量のデンプンがなくなるまでの時間」を測ることがあります。この場合、時間が短いほど速く分解したことを示します。たとえば20℃で18分、40℃で5分なら、40℃の方が反応は速いと判断します。生成物量のグラフとは数値の読み方が反対になるので、縦軸を先に確認します。
40℃で12 mg、50℃で6 mgなら、温度を10℃上げたとき糖が6 mg減りました。ただし、温度と糖量が直線的に変わるとは限らないため、「1℃につき常に0.6 mg減る」と他の範囲へ広げてはいけません。
実験を複数回行って値にばらつきがあれば、平均を求めたり、値の広がりを確認したりします。一回だけの最大値が測定ミスでないかを確かめるためです。
誤答を直して次の学びへつなげる
「反応時間が長いほど、たくさん働いた」は、同じ量を分解するまでの時間を測る実験では逆です。短い時間で終わる方が、単位時間あたりの反応が速いと考えます。
「40℃の値が最大だから最適温度は必ず40℃」も断定しすぎです。測定点の間に最大がある可能性があります。30~50℃をさらに細かく測る追加実験を提案します。
次は、グラフの両端で反応が少ない理由を混同せず、「高温ほど速い」「反応なしは酵素なし」という誤答を直します。
自分で確かめよう
確認1:同じ時間後の生成物量を比べるとき、何が大きいほどよく働いた?
他の条件が同じなら、生成物量が多いほど、その時間内に反応がよく進んだと考えます。確認2:同じ量を分解し終えるまでの時間では、何が小さいほど速い?
反応時間です。短い時間で同じ量を分解できた方が、反応が速いと考えます。確認3:10℃刻みで40℃が最大だった。正確な最適温度を調べるには?
40℃の前後を、たとえば2℃や5℃刻みで追加測定し、他の条件をそろえて比較します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。