LESSON 01

小腸での吸収と柔毛

未知の吸収資料を構造・経路・濃度から解こう

「小腸での吸収と柔毛」第6段階。柔毛断面・標識物質・濃度表を統合して説明します。

未知の吸収資料を構造・経路・濃度から解こう

このレッスンの役割

このレッスンは「小腸での吸収と柔毛」6レッスンの最終です。ここまでの、消化と吸収の区別、柔毛の構造、表面積、毛細血管とリンパ管の経路、誤答修正を一つの入試型資料で使います。

目標は、図の形だけで管を当てるのではなく、標識物質がどこで増えたかを証拠にし、構造・経路・濃度の三つをつないだ記述をつくることです。

知る・理解する

動物に標識した物質PとQを食べさせ、柔毛内の管Aと管Bで食後の増加量を測ったとします。

物質 管Aでの増加 管Bでの増加
P 大きい 小さい
Q 小さい 大きい

模式図でAが柔毛表面近くに網目状に広がり、Bが中央の太い管なら、Aは毛細血管、Bはリンパ管と考えられます。Pは毛細血管へ入りやすいブドウ糖やアミノ酸、Qはリンパ管へ入りやすい脂肪由来物質の候補です。

ただし、「Pは必ずブドウ糖」とは決められません。アミノ酸も毛細血管へ入るためです。資料に消化前の栄養分や検出反応があれば、さらに絞ります。

柔毛断面と標識物質の濃度表を統合する推論 網目状の管Aを毛細血管、中央の管Bをリンパ管とし、PがAで増えQがBで増える結果から、それぞれ糖・アミノ酸と脂肪由来物質の候補を示す。 形と濃度変化が同じ結論を支えるか 柔毛の構造管A:網目管B:中央 食後の増加PAで大QBで大増えた管を主経路と考える A=毛細血管:Pは糖・アミノ酸候補B=リンパ管:Qは脂肪由来候補 候補が複数残るときは、資料を超えて一つに断定しない

具体例で使う

設問:「柔毛がない動物では、消化液が正常でも栄養状態が悪くなった。なぜか。」

記述例:「柔毛がないと小腸内で栄養分と接する表面積が小さくなり、消化で小さくなった物質を毛細血管やリンパ管へ十分に吸収できないため。」消化の異常ではなく、吸収面積の減少として説明します。

別の資料で、小腸へ入る血液より出る血液でPが増え、リンパでQが増えたなら、PとQが小腸でつくられたのではなく、消化管内から吸収された可能性を考えます。食物に標識を付けて同じ標識が管内で見つかれば、その根拠はさらに強くなります。

誤答を直して次の学びへつなげる

「中央の管だからBはリンパ管」という形だけの説明より、「中央にあり、Qが食後に増え、脂肪由来物質の経路と一致する」と複数の証拠を使います。

「AでPが増えたから柔毛がPをつくった」は誤りです。吸収前後の位置と、食物由来の標識を追い、外から内へ移動したと説明します。

このセクションでは、小腸壁を越える物質の流れを完成させました。次の「肺での呼吸とガス交換」では、柔毛と同じく広い表面・薄い壁・豊富な毛細血管をもつ肺胞で、酸素と二酸化炭素が交換される仕組みへ転用します。

自分で確かめよう

確認1:管Aが網目状でPが大きく増えた。AとPの候補は?Aは毛細血管、Pはブドウ糖またはアミノ酸の候補です。追加情報なしに一方へ断定しません。
確認2:管Bが中央にあり、脂肪由来の標識Qが増えた。Bは?リンパ管です。脂肪由来物質は主にリンパ管へ入るという経路と一致します。
確認3:柔毛が失われたとき、消化できても栄養不足になる理由は?吸収のための表面積が減り、小腸壁を越えて毛細血管やリンパ管へ入る物質量が少なくなるからです。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。