運動前後のデータから物質輸送の変化を読もう
このレッスンの役割
前のレッスンで、毛細血管と細胞の間の物質交換を学びました。今回は、運動前後の呼吸数・心拍数・呼気の気体濃度を組み合わせ、供給と回収の変化を数値から説明します。
目標は、一つの数値だけで結論を出さず、複数の変化を細胞の呼吸と物質輸送へつなげることです。
知る・理解する
運動すると筋肉細胞の活動が増え、呼吸で使う酸素や栄養分が増えます。同時に、二酸化炭素などの生成も増えます。
呼吸数が増えると、肺へ出入りする空気の回数が増えます。心拍数が増えると、心臓が血液を送り出す回数が増えます。これらは、酸素を取り込み全身へ運ぶことと、二酸化炭素を回収して体外へ出すことを支えます。
データは単位を確認します。呼吸数は回/分、心拍数は拍/分です。呼気中のCO₂濃度が高くなっても、呼吸量全体が変わっているため、濃度だけから総排出量を直接決められない場合があります。
具体例で使う
ある生徒の安静時は呼吸数15回/分、心拍数70拍/分でした。運動直後は30回/分、140拍/分です。どちらも2倍になりました。
同時に、筋肉へ入る血液と出る血液を比べると、運動直後は酸素の減少と二酸化炭素の増加が安静時より大きくなりました。これらを合わせると「筋肉細胞の呼吸が増え、酸素供給と二酸化炭素回収の必要が高まったため、呼吸数と心拍数が増えた」と説明できます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「心拍数が増えると心臓がエネルギーをつくる」は誤りです。心臓は血液の流れを増やし、細胞へ材料を届けることを支えます。エネルギーを取り出すのは各細胞の呼吸です。
また、一人の一回の値だけでは一般化しにくいため、複数人・複数回の測定も必要です。次は、器官が物質やエネルギーを「つくる」という典型的な混同をまとめて直します。
自分で確かめよう
確認1:運動時に呼吸数が増えるのは何を増やすため?
酸素の取り込みと二酸化炭素の排出を増やすためです。確認2:心拍数70から140は何倍?
140÷70=2倍です。確認3:呼吸数と心拍数だけで筋肉の物質交換を断定できる?
直接の気体差なども組み合わせる方が強い証拠になります。複数データを細胞の呼吸という仕組みで結びます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。