未知の植物資料を物質収支モデルで解こう
このレッスンの役割
このセクションの最後に、明暗、湿度、CO₂濃度、質量変化を組み合わせた初見資料を解きます。
目標は、各データを光合成・呼吸・蒸散へ対応させ、正味と内部反応を分け、植物全体の物質の流れを根拠付きで記述することです。
知る・理解する
未知資料は次の順で整理します。
- 装置内に植物があるか、植物なしの対照があるかを見る。
- 明暗、温度、湿度、風、時間、葉面積を確認する。
- 水・CO₂・O₂のどれを測ったかを分ける。
- 必要なら1時間、葉面積100 cm²当たりなどへそろえる。
- 暗所の気体変化を呼吸、対照を引いた質量減少を蒸散へ対応させる。
- 明所の値は光合成と呼吸の正味として式にする。
- 資料が直接示す範囲だけを、数値と仕組みで説明する。
具体例で使う
葉面積が同じ植物を2時間調べました。明所AではCO₂が10 mg減り、質量は18 g減りました。暗所BではCO₂が4 mg増え、質量は10 g減りました。植物なしの鉢はどちらも2 g減りました。温度は同じです。
1時間当たりでは、呼吸によるCO₂放出は4÷2=2 mgです。明所の正味吸収は10÷2=5 mgなので、同条件とみなせる範囲で光合成のCO₂使用は5+2=7 mg/時です。蒸散はAが(18−2)÷2=8 g/時、Bが(10−2)÷2=4 g/時です。
結論は「明所Aでは呼吸と同時に、それを上回る光合成が行われ、正味5 mg/時のCO₂吸収となった。また対照を引いた水の減少は暗所Bより4 g/時大きく、明所条件で蒸散も大きかった」と書けます。
誤答を直して次の学びへつなげる
明所と暗所で温度や葉面積まで違えば、暗所の呼吸量をそのまま明所へ足せません。計算できるのは、比較条件がそろっている範囲です。
また「明るいから蒸散が増えた」と光だけを原因に断定する前に、温度や気孔の状態を確認します。次の「植物の体と働きの入試総合」では、どの技能を選ぶか自分で判断してコース全体を統合します。
自分で確かめよう
確認1:明所の正味CO₂吸収5、呼吸2なら光合成はいくら?
5+2=7です。ただし明所と暗所で温度などの条件がそろっている必要があります。確認2:質量減少から蒸散を求める式は?
植物ありの質量減少から植物なしの対照の減少を引き、必要に応じて時間や葉面積で割ります。確認3:よい入試記述に必要な三要素は?
資料の具体的な数値、対応する働き、そう判断できる仕組みです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。