吸水量と蒸散量は必ず同じという誤解を直そう
このレッスンの役割
ここまで蒸散現象、対照実験、吸水との接続、水量計算を学びました。今回は「入った水=出た水」と単純に置く誤解を、水収支の考え方で直します。
目標は、吸収・保持・利用・蒸散を区別し、測定条件に応じて等しいと近似できる範囲を説明することです。
知る・理解する
植物へ入った水は、すぐすべてが外へ出るわけではありません。体内の細胞に保持され、成長による体積増加に使われ、一部は光合成などにも使われます。
水収支は、おおまかに「吸水量=蒸散量+体内に増えた水量+反応などに使われた量」と考えられます。短時間で体内水分がほぼ変わらない安定した条件なら、吸水量を蒸散量の近似に使えます。
具体例で使う
ある植物が3時間で20 mL吸水し、質量が2 g増えたとします。水1 mLを約1 gとみなせば、少なくとも約2 mLは体内に保持された可能性があり、蒸散量を20 mLと断定できません。
一方、前後の質量がほぼ変わらず、水面蒸発も補正した短時間実験なら、吸水量と蒸散量が近いと扱えます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「吸水20 mLだから蒸散20 mL」は条件確認が不足しています。体内水分の変化と他用途を見ます。
「気孔が閉じれば蒸散は完全にゼロ」とも限りません。完全には閉じない場合や、表皮などから少量失われる場合があります。資料が示す測定範囲で結論を書きます。
自分で確かめよう
確認1:吸水した水の三つの行き先は?
蒸散、体内への保持・成長、光合成などでの利用です。確認2:吸水量を蒸散量と近似しやすい条件は?
短時間で体内水分がほぼ一定で、容器蒸発を補正し、漏れがない条件です。確認3:気孔が閉じた資料から言える安全な表現は?
気孔を通る蒸散が小さくなると考えられる、であり、必ず完全にゼロとは断定しません。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。