温度計は何を測る?空気と器具の温度を区別しよう
まず知る
このレッスンは「気温を正しく測る」6レッスンの入口です。前のセクションでは、気温を大気の状態を表す観測量の一つとして扱いました。ここからは、その数字が本当に空気の温度を表すための条件を考えます。
温度計が直接示しているのは、まず温度計自身の温度です。温度計と周囲の空気との間で熱が移動し、温度がほぼ同じになったとき、その示度を気温として読みます。
| 言葉 | このレッスンでの意味 |
|---|---|
| 温度 | 物体の熱さ・冷たさの程度を表す量 |
| 熱 | 温度差があるとき、高温側から低温側へ移るエネルギー |
| 示度 | 温度計がその時点で示している値 |
| 熱平衡 | 接するものどうしの温度が等しくなり、正味の熱移動がなくなった状態 |
熱と温度は同じではありません。温度は状態を表し、熱は温度差によって移動します。
理解する
冷たい室内から暖かい屋外へ温度計を出すと、最初の示度は室内の温度に近いままです。暖かい空気から温度計へ熱が移り、温度計の示度はしだいに上がります。安定する前に読めば、屋外の気温より低い値になります。
温度計には空気以外からも熱が届きます。太陽光が当たれば放射で、手で持てば伝導で、熱を受けます。その示度は「空気だけ」と平衡になった値ではなくなります。これが、温度計を日陰に置き、手で握らず、風通しをよくする理由の出発点です。
体感温度も気温そのものではありません。同じ25 ℃でも、風が強ければ体から熱が逃げやすく、湿度が高ければ汗が蒸発しにくいため、感じ方が変わります。
使う
問題です。15 ℃の教室にあった温度計を、気温25 ℃の屋外の日陰へ移しました。30秒後に18 ℃、2分後に23 ℃、5分後に25 ℃を示しました。どの値を屋外の気温として使うのがよいでしょうか。
5分後の25 ℃です。30秒後と2分後は示度がまだ上昇しており、温度計が屋外の空気と十分に熱平衡へ近づいていません。大切なのは「必ず5分待つ」という数字の暗記ではなく、示度がほぼ変わらなくなるまで待つことです。
別の例で、日なたの温度計が32 ℃、すぐ近くの日陰の温度計が27 ℃を示したとします。「日なたの気温は32 ℃」とは限りません。日なたでは温度計が太陽光を吸収し、空気より高温になった可能性があります。
転用する
初めて見る測定場面では、「温度計は何と熱をやり取りしているか」を図にします。空気、太陽、地面、建物、手のうち、空気以外の影響を減らせているかを判断します。
示度が安定していても、それだけで正しい気温とは限りません。直射日光を受け続けた温度計は、空気より高い温度で安定することがあるからです。「待つ」と「空気以外からの熱を避ける」の両方が必要です。
次は、日陰・通風・地面からの高さ・待ち時間・目盛りの読み方をそろえ、再現できる測定手順を作ります。
確認1:温度計が直接示すのは何の温度?
その時点の温度計自身の温度です。周囲の空気との熱の移動が落ち着いた示度を気温として読みます。確認2:温度計を屋外へ出した直後に読んではいけないのはなぜ?
温度計が移動前の温度を保っており、屋外の空気と熱平衡へ近づく途中だからです。確認3:日なたで示度が安定したら、正しい気温と言える?
言えません。太陽から放射を受け、温度計が空気より高温で安定している可能性があります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。