LESSON 01

気温を正しく測る

温度計は何を測る?空気と器具の温度を区別しよう

温度計がまず自身の温度を示すことから、熱移動・熱平衡・待ち時間・日射の影響を理解します。

温度計は何を測る?空気と器具の温度を区別しよう

まず知る

このレッスンは「気温を正しく測る」6レッスンの入口です。前のセクションでは、気温を大気の状態を表す観測量の一つとして扱いました。ここからは、その数字が本当に空気の温度を表すための条件を考えます。

温度計が直接示しているのは、まず温度計自身の温度です。温度計と周囲の空気との間で熱が移動し、温度がほぼ同じになったとき、その示度を気温として読みます。

言葉 このレッスンでの意味
温度 物体の熱さ・冷たさの程度を表す量
温度差があるとき、高温側から低温側へ移るエネルギー
示度 温度計がその時点で示している値
熱平衡 接するものどうしの温度が等しくなり、正味の熱移動がなくなった状態

熱と温度は同じではありません。温度は状態を表し、熱は温度差によって移動します。

理解する

冷たい室内から暖かい屋外へ温度計を出すと、最初の示度は室内の温度に近いままです。暖かい空気から温度計へ熱が移り、温度計の示度はしだいに上がります。安定する前に読めば、屋外の気温より低い値になります。

温度計と空気の熱の移動によって示度が安定する図冷たい温度計を暖かい空気へ置くと、空気から温度計へ熱が移り、温度計の示度が空気の温度へ近づく三段階置いた直後空気 25 ℃温度計 15 ℃熱が移動中空気 25 ℃温度計 21 ℃示度が安定空気 25 ℃温度計 約25 ℃温度差がある間、熱は高温側から低温側へ移る

温度計には空気以外からも熱が届きます。太陽光が当たれば放射で、手で持てば伝導で、熱を受けます。その示度は「空気だけ」と平衡になった値ではなくなります。これが、温度計を日陰に置き、手で握らず、風通しをよくする理由の出発点です。

体感温度も気温そのものではありません。同じ25 ℃でも、風が強ければ体から熱が逃げやすく、湿度が高ければ汗が蒸発しにくいため、感じ方が変わります。

使う

問題です。15 ℃の教室にあった温度計を、気温25 ℃の屋外の日陰へ移しました。30秒後に18 ℃、2分後に23 ℃、5分後に25 ℃を示しました。どの値を屋外の気温として使うのがよいでしょうか。

5分後の25 ℃です。30秒後と2分後は示度がまだ上昇しており、温度計が屋外の空気と十分に熱平衡へ近づいていません。大切なのは「必ず5分待つ」という数字の暗記ではなく、示度がほぼ変わらなくなるまで待つことです。

別の例で、日なたの温度計が32 ℃、すぐ近くの日陰の温度計が27 ℃を示したとします。「日なたの気温は32 ℃」とは限りません。日なたでは温度計が太陽光を吸収し、空気より高温になった可能性があります。

転用する

初めて見る測定場面では、「温度計は何と熱をやり取りしているか」を図にします。空気、太陽、地面、建物、手のうち、空気以外の影響を減らせているかを判断します。

示度が安定していても、それだけで正しい気温とは限りません。直射日光を受け続けた温度計は、空気より高い温度で安定することがあるからです。「待つ」と「空気以外からの熱を避ける」の両方が必要です。

次は、日陰・通風・地面からの高さ・待ち時間・目盛りの読み方をそろえ、再現できる測定手順を作ります。

確認1:温度計が直接示すのは何の温度?その時点の温度計自身の温度です。周囲の空気との熱の移動が落ち着いた示度を気温として読みます。
確認2:温度計を屋外へ出した直後に読んではいけないのはなぜ?温度計が移動前の温度を保っており、屋外の空気と熱平衡へ近づく途中だからです。
確認3:日なたで示度が安定したら、正しい気温と言える?言えません。太陽から放射を受け、温度計が空気より高温で安定している可能性があります。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。