温度が高いほど飽和水蒸気量が大きい理由を説明しよう
まず知る
このレッスンの役割と目標
このレッスンは「飽和水蒸気量と温度」6レッスンの3番目です。前回、曲線から温度が高いほど最大量が大きいと読みました。今回は、その傾向を蒸発と凝結の動的なつり合いから説明します。
「暖かい空気は大きな箱だから水蒸気が入る」という説明は覚えやすい反面、空気を容器のように誤解させます。重要なのは、温度によって水分子の運動と、液体・気体のつり合いが変わることです。
理解する
蒸発と凝結がつり合う点を比べる
温度が高いと、液体中の水分子の運動が活発になり、水面から飛び出す分子が増えます。気体側の水分子が増えると液面へ戻る凝結も増え、やがて蒸発と凝結がつり合います。高温では、より多い水蒸気量のところでこのつり合いに達します。
温度が低いと、より少ない水蒸気量でつり合います。そのため、同じ実際量の空気を冷やすと、最大量が実際量まで下がる温度で飽和し、さらに冷やすと超えた分が凝結します。
使う
温度だけを変えたときの予測
密閉容器内の空気が20℃で実際量10 g/m³だとします。20℃の最大量17.3 g/m³より少ないので未飽和です。水の出入りがないまま30℃へ暖めても、実際量は基本的に10 g/m³のままですが、最大量は30.4 g/m³へ増えます。
したがって、「暖めると水蒸気量が必ず増える」は誤りです。暖めただけでは水が新しく加わりません。液体の水が一緒にあり蒸発できるなら、実際量が増える場合があります。温度変化と物質の出入りを分けます。
| 操作 | 実際量 | 最大量 |
|---|---|---|
| 密閉して暖める | 水の出入りがなければ同じ | 大きくなる |
| 液体の水とともに暖める | 蒸発で増えることがある | 大きくなる |
| 冷やす | 飽和までは同じ | 小さくなる |
転用する
まとめと次へのつながり
「空気が水蒸気を入れる箱」という比喩は、最大量の増減を覚える補助にはなっても、原因の説明には使いません。蒸発・凝結・分子運動・動的つり合いで説明します。
次は、実際量を保ったまま冷やしたとき、冷却後の最大量を超える分を凝結量として計算します。
理解チェック
確認1:高温ほど飽和水蒸気量が大きい理由は何ですか。
高温では分子運動と蒸発が活発になり、より多い水蒸気量で蒸発と凝結がつり合うからです。確認2:密閉した空気を暖めるだけで実際の水蒸気量は必ず増えますか。
増えません。水の出入りや液体からの蒸発がなければ、実際量は基本的に同じです。確認3:飽和状態では蒸発は止まっていますか。
止まっていません。蒸発と凝結が同じ割合で進む動的なつり合いです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。