LESSON 01

気圧と大気の重さ

空気があらゆる向きから面を押す大気圧を確かめよう

「気圧と大気の重さ」第2段階。逆さコップや吸盤を内外の圧力差で考え、大気圧が面に垂直なあらゆる向きへ働くことを説明する。

空気があらゆる向きから面を押す大気圧を確かめよう

まず知る

このレッスンの役割と目標

このレッスンは「気圧と大気の重さ」6レッスンの2番目です。前のレッスンで、空気は物質であり質量をもつと確かめました。ここでは、その空気が物体の面を押すはたらきを観察し、大気圧が下向きだけでなく、上・横を含むあらゆる向きに働くことを理解します。

圧力とは、面を押すはたらきを面積あたりで表したものです。大気が物体の面を押す圧力を大気圧といいます。私たちの周りには空気があるため、机、壁、コップ、体の表面も大気圧を受けています。

ふだん押されている感じがしないのは、体の内側からも外側へ押す圧力があり、多くの場所で内外の圧力がほぼつり合っているからです。圧力が「ない」のではありません。

理解する

カードでふさいだ水入りコップを考える

水を満たしたコップの口を平らなカードでふさぎ、安全な場所でコップを逆さにします。手をそっと離しても、条件が整えばカードはすぐには落ちません。カードの下面は外の空気から上向きに押され、上面は水とコップ内の空気から下向きに押されます。上向きの力がカードと水の重さを支えられる間、カードは残ります。

逆さにした水入りコップのカードに働く力カードの下面には外の大気圧による上向きの力が働き、上面には水とコップ内の空気による下向きの力が働く。外側の圧力が相対的に大きいとカードが支えられる。コップの中から下向き外の空気がカードを上向きに押す横からも横からも

図で重要なのは、矢印の向きです。大気圧は面に対して垂直に働きます。カードの下面では上向き、コップの側面では横向きです。「空気の重さが原因だから、下向きにしか押さない」とはなりません。空気の粒子はさまざまな向きに運動し、面に衝突して押すからです。

この実験を行う場合は、割れない容器を使い、流しや屋外など水がこぼれても安全な場所で行います。結果が同じにならないときは、カードとコップのすき間、カードの曲がり、入った空気の量を確認します。

使う

具体例と間違いの修正

吸盤を壁に押しつけると、吸盤の内側の空気が押し出され、内側の気圧が外側より低くなります。すると、外の大気圧が吸盤を壁へ強く押しつけます。吸盤が壁を「吸って引っぱる」というより、外側の空気に押されていると考えるほうが、内外の圧力差を説明できます。

現象 内側 外側 結果
壁についた吸盤 気圧が低い 大気圧が高い 外から壁側へ押される
逆さコップのカード 水・内部の空気が下へ押す 大気が下から上へ押す 条件が整うとカードを支える
穴が開いた吸盤 外気が入り、内外がほぼ同じ 大気圧 圧力差が小さくなり外れる

「真空が引っぱる」という言い方にも注意します。空気が少ない側に、新しい引っぱる力が生まれるのではありません。反対側からの押す力が相対的に大きくなり、物体が気圧の低い側へ動きます。

転用する

まとめと次へのつながり

初めて見る容器の実験では、物体の各面について次の順で考えます。

  1. 面の両側には何があるか。
  2. それぞれの側の圧力は、どの向きに面を押すか。
  3. どちらの圧力が大きいか。
  4. 圧力差による力と、物体の重さなどを比べる。

空き缶の中の水蒸気を冷やすと缶がへこむ現象も同じ考え方で説明できます。水蒸気が凝結して缶内の気圧が下がると、外側の大気圧のほうが大きくなり、缶は外から押されます。ただし、加熱を伴う実験はやけどのおそれがあるため、先生の管理下でのみ行います。

次のレッスンでは、「なぜ地球の表面に大気圧が生まれるのか」を、地表の上に積み重なる大気の柱と重力のモデルで説明します。

理解チェック

確認1:大気圧は下向きにだけ働きますか。いいえ。空気の粒子はさまざまな向きに運動して面に衝突するため、大気圧は面に垂直な向きに働きます。水平な面の下側では上向きにも働きます。
確認2:吸盤が壁につく理由を「吸う力」を使わずに説明してください。吸盤内の気圧が外の大気圧より低くなり、外側の空気が吸盤を壁へ押しつけるからです。内外の圧力差が原因です。
確認3:逆さコップのカードにすき間ができると落ちやすいのはなぜですか。すき間から外気が入り、カード上側の圧力が高くなって内外の圧力差が小さくなるからです。水とカードの重さを支えにくくなります。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。