未知の抵抗性データから自然選択を説明しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「自然選択の考え方」6レッスンの最後です。ここまでに、四条件、モデル実験、因果の鎖、割合計算、強さの誤解を学びました。ここでは薬剤に対する抵抗性の資料へ、必要な技能を選んで使います。
完成の目安は、「もともとの個体差→薬剤下の生存・繁殖差→遺伝→世代ごとの抵抗性割合」という説明を、複数資料と限界を示して書けることです。
知る・理解する
抵抗性とは、ある薬剤の影響を受けにくい形質です。細菌や害虫の集団には、薬剤を使う前から抵抗性に関係する個体差が存在することがあります。
薬剤を使うと、感受性の個体は多く減り、抵抗性をもつ個体が相対的に多く生き残ります。その形質が子へ伝わり、残った個体が増殖・繁殖すると、次世代の集団で抵抗性の割合が上がります。
この説明は薬の使用方法を決めるものではありません。医薬品は医師・薬剤師の指示に従います。ここでは、集団が世代で変化する生物学的な仕組みだけを扱います。
具体例で使う
ある害虫集団を調べました。
| 世代 | 抵抗性個体 | 総個体数 | 抵抗性割合 |
|---|---|---|---|
| 薬剤使用前 | 5 | 100 | 5% |
| 第1世代後 | 30 | 100 | 30% |
| 第3世代後 | 75 | 100 | 75% |
別資料では、薬剤下で抵抗性個体は一個体あたり平均4個体、感受性個体は平均0.5個体の生き残る子を残しました。親子調査では抵抗性が伝わる傾向も確認されました。
三資料を合わせると、使用前から抵抗性の個体差があり、薬剤下で抵抗性個体が多く子を残し、その差が遺伝して世代ごとに割合が増えたという自然選択を支持します。
ただし、別の集団から抵抗性個体が移入した可能性や、採集方法の変化も確認します。一つの表だけで原因を断定しません。
誤答を直して次の学びへつなげる
「薬剤が害虫へ抵抗の仕方を教えた」は、使用前の5%を見落としています。薬剤は個体差に対して選択の条件として働きました。
「生き残った全個体が抵抗性を子へ伝える」も言いすぎです。形質が遺伝する資料と、実際の繁殖成功を確認します。
次の「適応は目的をもって起こらない」では、薬剤が必要な変化を作った、生物が抵抗しようと努力した、という目的論をさらに詳しく修正します。
自分で確かめよう
確認1:抵抗性割合が5%から75%へ増えたとき、個体が途中で学習した?
その説明ではありません。抵抗性をもつ個体が多く子孫を残し、集団内の割合が世代で増えました。確認2:自然選択を支持する三種類の資料は?
使用前からの個体差、薬剤下での生存・繁殖差、抵抗性の遺伝と世代ごとの割合変化です。確認3:割合変化の別原因として何を検討する?
抵抗性個体の移入、採集方法や場所の違い、標本数などを検討します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。