LESSON 01

同じ種にも個体差がある

未知の個体差データから原因の候補を考えよう

「同じ種にも個体差がある」第6段階。未知データから原因候補と追加調査を考えます。

未知の個体差データから原因の候補を考えよう

このレッスンの役割

このレッスンは「同じ種にも個体差がある」6レッスンの最後です。ここまでに、個体差の観察、公平な調査、遺伝と環境の比較、分布の読み方、誤解の直し方を学びました。ここでは未知のデータを統合し、差の原因候補と追加調査を提案します。

完成の目安は、「結論→資料の根拠→別の原因候補→追加調査」の順で、遺伝または環境との関係を言える範囲まで説明できることです。

知る・理解する

初見資料では、最初に何をそろえ、何を変えた比較かを確認します。次に平均だけでなく個々の値や分布を読みます。最後に、遺伝的要因、環境要因、測定誤差のどれが資料に支持されるかを考えます。

結論は「証明された」か「何も分からない」の二択ではありません。

  • 強く支持する:一方の条件をそろえ、別の条件だけを比べ、複数個体で同じ傾向がある。
  • 関係する可能性:傾向はあるが、別要因を十分そろえていない。
  • 判断できない:標本が少ない、測定方法が違う、比較対象がない。

未知の個体差データを原因候補と追加調査へつなぐ条件、分布、親子や系統の三資料を確認し、遺伝的要因、環境要因、測定誤差の支持度を判断して追加調査を選ぶ。資料から言える強さを調整する条件何をそろえ・変えたか分布範囲・中心・重なり世代・系統同じ環境で差が残るか原因候補の支持度を判断遺伝/環境/測定誤差足りない証拠を追加調査へ断定の強さも、資料に合わせる

この考え方は、次の自然選択へ進む土台です。自然選択では、集団にもともと個体差があり、環境との関係で生存や繁殖に差が生じたとき、世代を重ねて形質の割合が変わることを考えます。このレッスンでは、まだ割合の変化までは扱いません。

具体例で使う

同じ親株から作った挿し木を、明るい場所と暗い場所に各10個体置きました。水、土、温度、期間をそろえたところ、明るい場所の葉の厚さは平均0.42 mm、暗い場所は0.28 mmでした。各群内にも0.05 mmほどの広がりがあります。

遺伝的特徴をほぼそろえ、光条件を変えたため、葉の厚さの差に光環境が関係するという説明を支持します。ただし、置いた場所で温度も違わなかったか確認が必要です。追加調査では温度を測るか、同じ温度で光だけを変えます。

別の資料では、系統AとBの種子を同じ温室で20個体ずつ育て、花色の型に繰り返し差が出ました。これは遺伝的要因との関係を支持します。しかし、種子の成熟条件や親株の環境も影響しうるため、次世代でも同じ条件で確かめると説明が強くなります。

最後に、野外で暗い体色の昆虫が森Pに80%、森Qに30%いたとします。この相関だけでは、遺伝、背景色、温度、移動、採集方法のどれが原因か決められません。同じ方法で採集し、飼育環境をそろえた世代比較などが必要です。

誤答を直して次の学びへつなげる

「明るい場所で葉が厚いから、厚い葉は遺伝する」は、環境による個体の反応と遺伝を混同しています。

「同じ温室で二系統に差があるので、特定の一遺伝子が原因」は、資料より強く断定しています。遺伝的要因との関係は支持しても、原因遺伝子の特定には別の証拠が必要です。

「森Pで暗色が多いから、暗色が必ず有利」は、頻度の差から生存理由を決めています。次の「自然選択の考え方」で、生存・繁殖と世代変化の資料を加えて検討します。

自分で確かめよう

確認1:未知データの結論に含める四要素は?結論、資料の根拠、別の原因候補、確かめるための追加調査です。
確認2:同じ遺伝的特徴の挿し木を別の光で育てて差が出たら何を支持する?その形質の差に光環境が関係することを支持します。ただし、温度など他の条件も確認します。
確認3:野外で形質の割合が違うだけで、自然選択が起きたと断定できる?できません。採集方法、移動、環境、生存・繁殖、世代間変化などの追加資料が必要です。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。