未知の植物化石から陸上生活への変遷を説明しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「植物の進化と陸上生活」6レッスンの最後です。ここまでに、陸上の四条件、植物の比較、構造と働き、枝分かれ、一本道の誤解を学びました。ここでは、名前を知らない植物化石の資料へ全てを転用します。
完成の目安は、「結論→年代→複数の特徴→環境との関係→言い切れないこと」の順で、植物の陸上生活への変遷を説明できることです。
知る・理解する
未知の植物資料では、最初からコケ・シダ・裸子・被子の名前を当てようとしません。年代を確認し、維管束、根・茎・葉、胞子・種子、花粉、子房・果実という観察事実を抜き出します。次に、それぞれを輸送・支持、乾燥防止、受精、胚の保護、散布という働きへつなぎます。
複数の特徴が同じ方向を示すとき、陸上条件との関係や枝分かれの仮説は強くなります。しかし、一つの特徴だけで分類群や直接の祖先関係を確定しません。
科学的な考察では、「分からないこと」を書けることも強さです。果実らしい化石があっても、どの動物が散布したかまでは分からないかもしれません。花粉の化石があっても、その一資料だけで正確な植物種を決めることはできません。
具体例で使う
未知の植物化石A〜Dの資料があります。
| 化石 | 年代 | 体のつくり | 生殖に関係する特徴 |
|---|---|---|---|
| A | 最も古い | 小さく、維管束は確認できない | 丈夫な壁をもつ胞子 |
| B | Aより新しい | 維管束と根・茎・葉 | 胞子、花粉なし |
| C | Bより新しい | 維管束が発達 | 花粉とむき出しの種子 |
| D | Cと同じか新しい | 維管束が発達 | 花粉、種子、子房と果実 |
考察例は次の通りです。
「AからDへ年代が新しくなる中で、Bでは輸送と支持に関係する維管束、Cでは受精に外部の水を直接必要としない花粉と胚を守る種子、Dでは子房と果実が確認できる。これらは、植物が陸上で水を運び体を支え、受精と発生を乾燥から守り、種子を散布する特徴をもつ系統が枝分かれしてきたという変遷を支持する。ただし、AがB、BがCの直接の祖先とは資料だけでは確定できない。」
Dの果実に翼のような形があれば、風による散布の可能性を考えられます。しかし、実際に風で運ばれた証拠がないなら、「風散布に適した形」と述べるまでにします。動物散布と決めつけません。
誤答を直して次の学びへつなげる
「Bは胞子だからコケ植物」は、維管束と根・茎・葉を無視しています。複数特徴ならシダ植物に多い組合せと判断できます。
「Cは種子をもつので被子植物」は、裸子植物を見落としています。子房と果実の有無を確認します。
「Dが最も新しいから最も優れている」は、年代を価値の順位へ変えています。それぞれの特徴が環境条件とどう関係したかを説明します。
次の「同じ種にも個体差がある」では、進化の材料となる集団内の違いを調べます。ここで見た大きな特徴の変遷を、「なぜ集団の特徴が変わりうるのか」という仕組みへつなげます。
自分で確かめよう
確認1:維管束をもつ胞子植物は、どの仲間に多い特徴?
シダ植物に多い特徴の組合せです。確認2:花粉と種子だけで被子植物と決められる?
決められません。裸子植物も花粉と種子をもつため、子房・花・果実の有無を確認します。確認3:果実に翼があれば、風で散布されたと断定できる?
断定はできません。風散布に適した形という仮説を立て、実際の運ばれ方を示す追加資料が必要です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。