LESSON 01

進化は世代を重ねた変化

未知の世代データから進化かどうかを判断しよう

「進化は世代を重ねた変化」第6段階。未知の世代データから進化の根拠と限界を判断します。

未知の世代データから進化かどうかを判断しよう

このレッスンの役割

このレッスンは「進化は世代を重ねた変化」6レッスンの最後です。個体と集団、短期と世代、個体数と割合、変化の事実と原因を区別してきました。ここでは、初めて見る事例を進化かどうか判断します。

完成の目安は、複数世代のデータから集団内割合の変化を示し、進化と判断する根拠と、まだ断定できない原因を分けて説明できることです。

知る・理解する

未知の事例は、次の順で調べます。

  1. 主語を確認する。一個体か、集団か。
  2. 時間を確認する。一生の中か、複数世代か。
  3. 比較条件を確認する。同じ方法で記録したか。
  4. 個体数を割合へ直す。
  5. 特徴が遺伝に関係する証拠を探す。
  6. 変化の事実と、その原因の仮説を分ける。

この条件がそろえば、「集団の遺伝する特徴の割合が世代を通して変化したので、進化と考えられる」と書けます。ただし、短い期間のデータだけで長期傾向や原因を断定しないことも科学的な判断です。

未知事例を進化かどうか判断する分岐図集団か、複数世代か、遺伝する特徴の割合が変化したかを順に確認し、そろえば進化と考える。個体の一生の変化なら成長・変態・順応として区別し、原因は追加資料で検証する。「変化した」だけで進化と決めない主語は集団か?複数世代か?遺伝する特徴の割合が変化したか?進化と考えられる一個体・一生の変化成長・変態・順応を検討証拠が足りない追加の世代記録を集める原因は別に検証する

判断では「進化である/ない」だけでなく、「何が不足して判断できないか」も答えになります。たとえば親子で受け継がれる証拠がなければ、遺伝する特徴かを追加調査します。

具体例で使う

島の昆虫について、同じ季節・同じ方法で次の記録が得られました。

  • 第1世代:黒い個体18匹/120匹=15%
  • 第15世代:黒い個体66匹/165匹=40%
  • 第30世代:黒い個体126匹/180匹=70%

親子の飼育実験から体色が受け継がれることも分かっています。この資料から、黒い体色をもつ個体の割合が15%から70%へ世代を通して増えたため、集団が進化したと考えられます。

しかし「なぜ黒い個体が増えたか」は、この表だけでは決まりません。背景にとけ込みやすかった、別の集団から移入した、偶然の影響があったなど複数の可能性があります。原因を決めるには、生存率、子孫数、環境、移動の資料を追加します。

別の事例で、一匹の昆虫を暗い容器へ入れると数分で体色が暗くなり、明るい場所で戻ったなら、その個体の短期的な反応です。複数世代の集団割合を示していないので、進化とは区別します。

誤答を直して次の学びへつなげる

「30世代たったので進化した」は、時間の長さだけで決めています。集団内の遺伝する特徴の割合が変わった証拠が必要です。

「黒い個体が必要に応じて体色を変え、その変化を遺伝した」は、目的論と個体変化を混ぜています。もともとの個体差、遺伝、世代ごとの割合で説明します。

「15%から70%へ増えたから、鳥に食べられにくかったことが証明された」は、変化の事実から原因を飛躍させています。鳥による捕食を原因とするなら、体色別の捕食率などの資料が必要です。

このセクションで、進化の意味と判断の土台ができました。次の「化石が示す過去の生物」では、現在は直接観察できない長い時間の変化を、地層と化石という証拠から読み取ります。

自分で確かめよう

確認1:進化と判断するために確認する主語と時間は?主語は集団、時間は複数世代です。
確認2:15%から70%へ増えた資料から直接いえることは?黒い体色をもつ個体の集団内割合が、複数世代を通して増えたことです。
確認3:増加の原因を判断するにはどんな追加資料が必要?体色別の生存率や子孫数、環境の変化、他集団からの移入などを示す資料です。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。