LESSON 01

同じ種にも個体差がある

個体差を優劣や遺伝だけで説明する誤解を直そう

「同じ種にも個体差がある」第5段階。個体差を優劣や遺伝だけで捉える誤解を直します。

個体差を優劣や遺伝だけで説明する誤解を直そう

このレッスンの役割

このレッスンは「同じ種にも個体差がある」6レッスンの5番目です。前のレッスンでは、平均と分布を分けて集団のばらつきを読みました。ここでは、個体差を「優れている・劣っている」、または「全部遺伝する」と単純化する誤りを直します。

完成の目安は、観察された差について、遺伝的要因、環境要因、測定誤差を候補に残し、価値判断を混ぜずに資料の範囲で説明できることです。

知る・理解する

個体差は、集団に見られる自然なばらつきです。大きい、速い、濃いといった値は、測った条件の中での特徴であり、その個体全体の価値や優劣を表しません。ある環境で役立つ特徴が、別の環境では不利になることもあります。

観察値の差には、少なくとも三つの候補があります。

候補 確かめ方
遺伝的要因 同じ環境でも系統ごとに花色が違う 環境をそろえ、親子や世代を調べる
環境要因 同じ挿し木でも光で葉の厚さが違う 遺伝的特徴をそろえ、環境を変える
測定誤差 測る位置で草丈が違う 方法を統一し、繰り返し測る

個体差の値から原因候補を分ける観察された個体差を優劣へ直結させず、遺伝的要因、環境要因、測定誤差という三つの候補へ分け、比較と再測定で確かめる。差が見えたら、価値判断ではなく原因候補へ観察された個体差値・色・模様・反応遺伝的要因同じ環境で世代比較環境要因条件を変えて比較測定誤差方法統一・再測定大きい=優秀、平均から遠い=異常、とは判断しない

運動して筋肉が発達する、日光で肌の色が変わるなど、一個体が生活中に得た変化があります。その変化がそのまま遺伝情報へ書き込まれ、子に伝わるわけではありません。遺伝する個体差と、個体が環境へ反応した変化を区別します。

具体例で使う

誤答「長く走った親の子は、生まれつき長く走れる」を直します。親の運動で発達した筋肉は、その親の体に起きた環境による変化です。子の走る能力には多くの遺伝的要因と、成長、練習、栄養などの環境要因が関係しうるため、この文だけでは遺伝を説明できません。

誤答「葉が一枚だけ非常に長いので突然変異だ」も直します。まず同じ方法で再測定し、葉の位置、傷、日当たり、標本全体の分布を調べます。突然変異は遺伝情報の変化ですが、外れた測定値のすべてが突然変異ではありません。

人の身長や学習結果のような特徴を、一つの原因や優劣へ結びつけるのも不適切です。測定条件や環境、複数の要因が関係し、値は人の価値を表しません。

誤答を直して次の学びへつなげる

「差がある=遺伝」には環境をそろえた比較を、「外れた値=突然変異」には再測定と分布を、「大きい=優秀」には環境ごとの利点と制約を戻します。

誤答を直す順番は、事実を言い直す→原因候補を分ける→必要な比較を示す→資料だけでは言えないことを止める、です。

次は未知の個体差データを読み、どの原因候補が資料に支持されるか、何を追加調査すべきかを自分で判断します。

自分で確かめよう

確認1:平均より大きい個体は優れた個体?そのようには判断できません。測った一つの特徴の値であり、環境によって利点と制約も変わります。
確認2:運動で発達した親の筋肉は、そのまま子へ遺伝する?そのまま遺伝しません。個体が生活中に得た変化と、遺伝情報を通して伝わる差を区別します。
確認3:一つだけ離れた値を見つけたら最初に何をする?測定方法を確認して再測定し、標本全体の分布、環境、傷など別の原因を調べます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。