変異・遺伝・世代交代で進化の流れを描こう
このレッスンの役割
このレッスンは「進化は世代を重ねた変化」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、同じ条件で世代ごとの割合を記録しました。ここでは、その記録を説明する最小限のモデルを作ります。
完成の目安は、集団内の個体差、形質の遺伝、世代交代を順につなぎ、全個体が一斉に変身するのではなく、集団内の割合が少しずつ変わると説明できることです。
知る・理解する
同じ種の集団でも、すべての個体がまったく同じではありません。体色、体の大きさ、病気への強さなどに個体差があります。この違いのうち、遺伝情報に関係し、親から子へ受け継がれうるものが、世代を重ねた変化の材料になります。
親がもつ特徴の組み合わせは、生殖細胞と受精を通して子へ渡ります。子の世代でも個体差があり、次の世代へ子孫を残します。このくり返しの中で、ある遺伝する特徴をもつ個体の割合が変われば、集団の特徴が変化します。
この段階では、なぜ特定の割合が増えたかを一つに決めません。まず「もともと個体差がある」「一部は遺伝する」「世代ごとに割合を比べる」という三つを押さえます。自然選択など詳しい原因は後のセクションで学びます。
進化の図では、一匹の矢印を長く伸ばすより、複数個体からなる集団を世代ごとに描きます。そうすると、「青い個体が黄色から変身した」のではなく、「青い特徴をもつ個体の割合が変わった」と見えます。
具体例で使う
ある植物集団には、乾燥に強い個体と弱い個体がもともと混じり、この強さが親子で受け継がれるとします。第1世代で強い個体が20%、第10世代で45%、第30世代で70%でした。
このとき、弱い個体一つ一つが乾燥を必要として強い個体へ変わった、と考える必要はありません。各世代に個体差があり、遺伝する特徴の割合が世代交代の中で変わった、と説明します。
ただし、この割合変化だけでは原因を確定できません。乾燥との関係を示す生存・繁殖の資料、別地域との比較などがあれば、原因の説明を強められます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「集団の全個体が少しずつ青くなり、最後に70%になった」は、個体の色の変化と集団内割合を混同しています。世代ごとに青い形質をもつ個体を数えた割合です。
「運動で強くなった親の体の変化が、そのまま遺伝した」は、獲得した体の状態と遺伝情報を区別していません。世代変化のモデルには、親子で受け継がれうる特徴かという確認が必要です。
「割合が変わったのは必ず環境が選んだから」と原因を先に決めるのも早すぎます。まず世代変化を確認し、原因は追加資料で検証します。
次は、個体数が異なる複数世代の表から形質の割合を計算し、一時的な揺れと長期的な傾向を区別します。
自分で確かめよう
確認1:進化の材料となる集団内の違いを何という?
個体差や変異といいます。そのうち遺伝に関係する特徴が世代変化に関わります。確認2:進化のモデルを作る三つの要素は?
集団内の個体差、特徴の遺伝、世代交代に伴う割合の変化です。確認3:割合が変わった資料だけで原因まで決めてよい?
いけません。変化の事実と原因を分け、原因には生存・繁殖や環境など追加の資料が必要です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。