LESSON 01

適応は目的をもって起こらない

結果を目的にした説明を見分けよう

「適応は目的をもって起こらない」第1段階。働きの説明と進化原因の説明を区別します。

結果を目的にした説明を見分けよう

このレッスンの役割

このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの1番目です。前のセクションでは、遺伝する個体差と繁殖数の差から、形質の割合が世代で変わる自然選択を学びました。ここでは、生物の特徴の働きと、その特徴が進化した原因を区別します。

完成の目安は、「役立つ働きを述べた文」と「必要だったからその方向へ変化したとする文」を見分け、結果を原因にしない問いへ直せることです。

知る・理解する

「鳥の翼は飛ぶのに役立つ」は、現在の構造と働きの関係を述べています。一方、「鳥は飛びたかったので翼を作った」は、個体の目的や必要を進化の原因にしています。二つは似ていますが、答えている問いが違います。

問い 適切な説明の例 注意する表現
今どんな働きがあるか 翼は空気を押し、飛ぶことに役立つ 働きを述べる「ため」は使える
なぜ集団に広がったか 翼に関係する遺伝する差と繁殖差が世代で積み重なった 欲しい・努力した・必要なので生じた

働きの説明と進化原因の説明を分ける左は翼が飛ぶのに役立つという現在の構造と働き、右は個体差、遺伝、繁殖差、世代変化という進化原因。飛びたいから翼を作ったという文を区別する。同じ「なぜ」でも、働きと起源は別の問い現在の働き翼は飛ぶのに役立つ構造→働き進化した原因個体差遺伝繁殖差世代変化「役立つ」から「必要なので生じた」へ飛び越えない

「〜するための構造」という表現がすべて間違いなのではありません。働きを短く表すなら使えます。進化の原因を説明するときは、個体差がいつ存在し、どう遺伝し、どの個体が多く子孫を残し、割合がどう変わったかが必要です。

具体例で使う

キリンの長い首について考えます。「長い首は高い場所の葉を食べるのに役立つ」は働きの説明です。「高い葉を食べたかったので、個体が首を伸ばし、その長さを子へ渡した」は目的論的な起源説明です。

証拠に合う説明へ直すなら、「祖先集団には首の長さに遺伝する個体差があり、ある環境で長い首に関係する個体が平均して多く子孫を残した結果、その形質の割合が世代を重ねて変化した可能性がある」とします。

ただし、高い葉だけが原因とはこの文だけで確定しません。繁殖相手をめぐる競争など、別の要因を調べる必要があります。

誤答を直して次の学びへつなげる

「必要な特徴だから進化した」は、結果として役立つことを、変化が生じた原因へ置き換えています。

「飛ぶための翼」という表現を見ただけで誤りと決めるのも早計です。現在の働きか、起源の原因かを確認します。

次は、環境が変化する前・直後・世代後の資料を時間順に並べ、役立つ個体差が環境変化より前からあったかを確かめます。

自分で確かめよう

確認1:「肺は空気中の酸素を取り込むのに役立つ」は何の説明?現在の構造と働きの関係を述べる説明です。
確認2:「陸上で必要になったので肺が生じた」の問題は?必要という結果を、形質が生じた原因にしており、個体差・遺伝・繁殖差・世代変化を示していません。
確認3:進化原因の説明で確認する資料は?個体差がいつ存在したか、遺伝するか、生存・繁殖差があるか、世代で割合が変わるかです。

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