個体差を公平に測る調査を設計しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「同じ種にも個体差がある」6レッスンの2番目です。前のレッスンでは、同じ種に共通する特徴と個体差を分けました。ここでは、見つけた差が選び方や測り方による見かけではないかを確かめられる調査を作ります。
完成の目安は、測定する特徴、対象条件、測定方法、単位、標本数を決め、一個体ではなく集団のばらつきを公平に記録できることです。
知る・理解する
学校の花壇にある同じ種の植物の高さを調べるとします。日当たりのよい端の大きな個体だけを選べば、花壇全体を代表しません。目立つ個体だけでなく、決めた範囲から偏りが小さくなるように選びます。
調査では次をそろえます。
| 項目 | 決めること | そろえないと起こる問題 |
|---|---|---|
| 対象 | 同じ種、成長段階、調査範囲 | 幼い個体と成体の差が混ざる |
| 選び方 | 格子点、一定間隔、無作為など | 大きい個体だけを選ぶ偏り |
| 測り方 | 地面から先端までなど | 人によって測る場所が変わる |
| 単位・器具 | cm、同じ定規 | 値を直接比べられない |
| 標本数 | 複数個体 | 一個体を種全体へ広げてしまう |
標本数が多いほどよいとは限りませんが、少なすぎると偶然の影響が大きくなります。時間と安全の範囲で複数個体を測り、個々の値を残します。平均だけを記録すると、ばらつきが見えなくなります。
具体例で使う
花壇を1 m四方の区画に分け、各区画の中央に最も近い同じ種の植物を一個体ずつ選びます。開花前の個体にそろえ、地面から最も高い葉の先端までをcm単位で測ります。
この方法なら、端の大きい個体だけを選ぶ偏りを小さくできます。測定者が二人いる場合は、最初の三個体を一緒に測り、測る位置が一致するか確かめます。
調査日が異なると成長による差が混ざります。同じ日の近い時刻に測るか、日が違うことを記録します。測定値の差をすぐ遺伝の差とせず、日当たり、土の水分、成長段階も候補に残します。
誤答を直して次の学びへつなげる
「一番大きい個体が52 cmだから、この種は52 cm」は、一個体を種全体へ広げています。範囲、分布、標本数を示します。
「A組は茎の根元から、B組は土の表面から測ったが、どちらも高さ」は、測定方法がそろっていません。差が生物によるのか測り方によるのか分からなくなります。
次は、公平に測って見つけた個体差について、遺伝的要因と環境要因のどちらが関係するかを、比較の組合せから考えます。
自分で確かめよう
確認1:一個体だけでは個体差を調べられないのはなぜ?
集団内の値の広がりや、その個体が集団のどこに位置するかを比較できないからです。確認2:測定方法をそろえる理由は?
測り方による差と、生物そのものの差を区別できるようにするためです。確認3:花壇の大きい個体だけを選ぶと何が起こる?
選び方が偏り、花壇全体より高い値が多い標本になる可能性があります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。