未知の系統樹と形質表を読み解こう
このレッスンの役割
このレッスンは「系統樹を読もう」6レッスンの最後です。ここまでに、基本記号、共通祖先、枝の回転、特徴表からの組み立て、三つの誤解を学びました。ここでは、初めて見る系統樹と特徴表から、根拠のある説明を作ります。
完成の目安は、「分岐点をたどる→特徴の共有範囲を確かめる→結論を書く→資料の限界を示す」の順で、未知資料を読み解けることです。
知る・理解する
初見問題では、図の形に圧倒されず、次の手順を使います。
- 根元と先端、時間の向きを確認する。
- 問われた二つの先端から根元へ枝をたどる。
- 最も新しい共通祖先の分岐点を示す。
- 形質表で、その分岐点の子孫が共有する特徴を探す。
- 図から言える結論と、図だけでは言えないことを分ける。
限界を書くことは、答えを弱くすることではありません。たとえば枝長に尺度がなければ分岐年代は決められません。一つの特徴表だけなら、独立に似た形質が生じた可能性を除くため、化石や遺伝情報など追加証拠が必要です。
具体例で使う
未知生物W・X・Y・Zの系統樹で、YとZが最初に同じ分岐点へ合流し、次にX、最後にWと合流するとします。特徴表では、全種がp、X・Y・Zがq、Y・Zがr、Zだけがsをもちます。
結論は、「YとZは、XやWとの共通祖先より新しい共通祖先を共有するため、この四種の中で最も近縁である。形質rはYとZの共通祖先で獲得され、子孫へ受け継がれた可能性がある」と書けます。
ただし、この資料だけでYがZの祖先だとはいえません。また、rが本当に一度だけ生じたかを確かめるには、化石・発生・遺伝情報など別の証拠も必要です。
誤答を直して次の学びへつなげる
「YとZは横に並ぶから近縁」では根拠が弱いです。「最も新しい共通祖先を共有するから」と直します。
「Zだけがsをもつので最も進化している」は誤りです。sはZの枝で得た特徴を表す手がかりで、優劣を表しません。
次の「環境変化と絶滅」では、枝が生まれる進化だけでなく、環境変化によって系統が途絶える条件を考えます。系統樹で分岐と先端を正確に読む力が土台になります。
自分で確かめよう
確認1:YとZが最も近縁だと判断する根拠は?
ほかの生物との共通祖先より新しい共通祖先を、YとZが共有することです。確認2:形質rはどこで獲得されたと考えられる?
単純なモデルでは、YとZが分岐する前の共通祖先の枝で獲得されたと考えられます。確認3:一つの特徴表だけで断定しない理由は?
似た特徴が別々に生じたり失われたりする可能性があり、化石や遺伝情報など複数の証拠が必要だからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。