LESSON 01

同じ種にも個体差がある

遺伝による差と環境による差を区別しよう

「同じ種にも個体差がある」第3段階。比較から遺伝的要因と環境要因を区別します。

遺伝による差と環境による差を区別しよう

このレッスンの役割

このレッスンは「同じ種にも個体差がある」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、対象と測り方をそろえて個体差を記録しました。ここでは、その差に遺伝的要因と環境要因がどう関係するかを、比較から考えます。

完成の目安は、形質が遺伝的要因だけ、または環境要因だけで単純に決まるとは限らず、両方の影響を受けうることを説明できることです。

知る・理解する

生物が示す観察可能な特徴を形質といいます。花の色の型、葉の大きさ、成長の速さなどが例です。形質の違いには、親から受け継いだ遺伝情報の違いが関係する場合があります。光、温度、栄養、水分、運動など育った環境が関係する場合もあります。

原因を考えるには比較を組み合わせます。

比較 主に確かめやすいこと
遺伝的特徴がほぼ同じ個体を異なる環境で育てる 環境による影響
遺伝的特徴が異なる個体を同じ環境で育てる 遺伝的要因に関係する差
両方を複数条件で比べる 遺伝と環境の組合せ

挿し木などで増やした遺伝的特徴がほぼ同じ植物でも、日当たりが違えば葉の大きさや茎の伸び方が変わることがあります。反対に、同じ温室で同じように育てた種子でも、遺伝的特徴が異なれば形質に差が残ることがあります。

遺伝的要因と環境要因を区別する二つの比較遺伝的特徴をそろえて環境を変える比較と、環境をそろえて遺伝的特徴の異なる個体を比べる比較を組み合わせ、形質への影響を考える。一方をそろえ、もう一方を比べる環境の影響を調べる遺伝的特徴がほぼ同じ挿し木強い光葉が厚い弱い光葉が薄い差は環境の影響を支持遺伝的要因を調べる同じ光・水・温度で育てる系統A花が赤い系統B花が白い差は遺伝的要因との関係を支持多くの形質では、遺伝と環境の両方が関係する

同じ環境に置いたつもりでも、土の微小な違いなどを完全にはそろえられません。また「遺伝的要因が関係する」と「一つの遺伝子だけで決まる」は同じではありません。複数の遺伝的要因や環境との組合せが関係する形質も多くあります。

具体例で使う

同じ親株から挿し木で増やした植物20個体を、10個体ずつ明るい場所と暗い場所で育てます。水、温度、土、期間をそろえます。明るい場所の葉は平均して厚く、暗い場所の葉は薄くなりました。

遺伝的特徴をほぼそろえ、主に光条件を変えたため、この差は光環境の影響と考える根拠になります。ただし、平均だけでなく個々の値の重なりと、他の条件が本当にそろったかを確認します。

別の二系統の種子を同じ温室で育て、花の色の型が系統ごとに繰り返し異なれば、遺伝的要因との関係を支持します。それでも、どの遺伝子が原因かまではこの実験だけでは分かりません。

誤答を直して次の学びへつなげる

「親子で似ているから、その差はすべて遺伝」は、家族が似た環境で育つ影響を除けていません。

「環境を変えたら形質が変わったから、遺伝は関係しない」も言いすぎです。同じ環境変化への反応の大きさが、遺伝的特徴によって違う場合があります。

次は、個体ごとの値を分布図にし、平均だけでは見えない範囲、中心、重なりを読みます。

自分で確かめよう

確認1:遺伝的特徴がほぼ同じ個体を異なる環境で比べる目的は?形質の差に環境がどう影響するかを確かめやすくするためです。
確認2:同じ環境で二系統の差が残れば何が言える?遺伝的要因が関係する可能性を支持します。ただし、特定の遺伝子や環境の影響ゼロまでは断定できません。
確認3:形質は遺伝か環境のどちらか一方だけで決まる?一方の影響が強い形質もありますが、多くの形質では遺伝的要因と環境要因の両方が関係しえます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。