環境を変えたら有利な形質が逆転するか考えよう
このレッスンの役割
このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの4番目です。前のレッスンでは、変異が差を生み、選択が割合を変えることを分けました。ここでは、同じ個体差を二つの環境へ置き、有利な形質が逆転するかを考えます。
完成の目安は、適応を形質だけの優劣ではなく、形質と環境の関係として説明し、環境が変わった場合の繁殖結果を予測できることです。
知る・理解する
暗色と明色の昆虫がいます。暗い樹皮では暗色が見つかりにくく、明るい樹皮では明色が見つかりにくいなら、「暗色が優秀」とは言えません。有利な形質は環境との組合せで変わります。
| 環境 | 暗色の平均子孫数 | 明色の平均子孫数 | 増えやすい形質 |
|---|---|---|---|
| 暗い樹皮 | 3.2 | 1.1 | 暗色 |
| 明るい樹皮 | 0.9 | 3.0 | 明色 |
反実仮想とは、「もし条件を変えたら結果はどうなるか」と考える方法です。目的論が正しいなら、必要になった個体がその場で都合よく変わるはずです。自然選択の説明では、既存の形質差に対する繁殖結果が環境によって変わると予測します。
具体例で使う
暗い島Aから暗色昆虫50個体、明色昆虫50個体を、明るい島Bへ移したとします。体色は遺伝し、島Bでは明色個体が平均3.0、暗色個体が0.9の子を残しました。
島Bでは明色の割合が世代を重ねて増えると予測できます。暗色個体が必要を感じて明色へ変わるのではありません。最初からいた明色個体が平均して多く子を残すためです。
ただし、捕食以外に温度、繁殖相手、移動なども影響しえます。実際の資料では条件を確認します。
誤答を直して次の学びへつなげる
「暗色は進化した色なので常に有利」は、環境との関係を外しています。
「島Bへ移ると暗色個体が明色へ変わる」は、個体の変化と集団の世代変化を混同しています。
次は、努力すれば遺伝する、必要な変異だけ起こる、進化には完成形がある、という三つの誤解をまとめて修正します。
自分で確かめよう
確認1:暗い環境で暗色が有利なら、明るい環境でも有利?
限りません。明るい背景では明色が見つかりにくく、多く子を残す可能性があります。確認2:環境変更後に変わるのは個体の色?
自然選択では個体が都合よく変色するのではなく、世代を重ねて集団内の形質割合が変わります。確認3:適応を一文で説明すると?
遺伝する形質が、特定の環境で生存・繁殖に関係することです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。