コケがシダに進化したという一本道の誤解を直そう
このレッスンの役割
このレッスンは「植物の進化と陸上生活」6レッスンの5番目です。前のレッスンでは、年代と共有する特徴から植物の枝分かれを考えました。ここでは、現生の植物を一直線に並べ、必要や優劣で説明する誤りを直します。
完成の目安は、「今のコケが今のシダになった」「乾燥したので一個体が種子を作った」「花をもつ植物が最も優れる」という誤りを、共通祖先、世代を重ねた変化、環境との関係で修正できることです。
知る・理解する
コケ植物、シダ植物、裸子植物、被子植物は、教科書では特徴の少ない順に並ぶことがあります。しかし、この並びは暗記しやすくした比較であり、現在のコケが現在のシダへ変身した順番ではありません。各グループにつながる系統は、古い共通祖先から枝分かれしました。
また、植物が「陸上で困った」「種子が必要だ」と感じて新しい構造を作ったのではありません。集団内に遺伝する違いがあり、環境との関係で生存・繁殖に差が生じ、それが世代を重ねて集団の特徴の変化につながったと考えます。
陸上に広く分布できる特徴をもつことが、すべての環境で有利とは限りません。コケ植物は小さな体で水分を取り入れ、湿った岩や土の上などで生活します。胞子は軽く、多数が広がることができます。現在まで残っていること自体が、その系統が環境の中で世代をつないできた証拠です。
具体例で使う
誤答「昔、乾燥して種子が必要になったので、シダ植物が努力して種子植物になった」を直します。
まず、一個体の努力を原因から外します。種子に関係する遺伝的な違いをもつ集団があり、胚を保護し休眠できる特徴が、ある乾燥条件で生存・繁殖に関係した可能性を考えます。その結果が世代を重ねて集団に広がった、と説明します。
次に、「シダ植物が種子植物になった」を、「シダ植物と種子植物につながる系統は共通祖先から枝分かれし、種子植物につながる枝では花粉や種子の特徴が現れた」に直します。現生のシダを直接の祖先にしません。
「花がある被子植物が完成形」という誤答には、進化にゴールはなく、花や果実も特定の受粉・散布条件との関係をもつ特徴だと補います。
誤答を直して次の学びへつなげる
一本道の誤りには共通祖先と枝分かれを、必要だから変わる誤りには集団内の違いと世代交代を、優劣の誤りには環境条件と利点・制約を戻します。
「現在もコケがいるなら進化していない」も誤りです。進化は別の分類群へ変わることだけではなく、各集団の遺伝的特徴が世代を重ねて変化することです。
次は未知の植物化石を読み、維管束、胞子・種子、花・果実を複数の証拠として使い、枝分かれの仮説を作ります。
自分で確かめよう
確認1:現在のコケ植物とシダ植物の関係をどう表す?
古い共通祖先から枝分かれし、それぞれ現在まで続いてきた別の系統と表します。確認2:「必要だから種子ができた」の代わりに何を説明する?
集団内の遺伝する違い、環境との関係、生存と繁殖の差、世代を重ねた集団の変化を説明します。確認3:花をもつ植物は他の植物より優れている?
優劣ではありません。花は受粉に関係する特徴で、環境や受粉方法によって利点と制約があります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。