LESSON 01

系統樹を読もう

見た目・一直線・祖先断定の誤りを直そう

「系統樹を読もう」第5段階。見た目・一直線・祖先断定という三つの誤りを直します。

見た目・一直線・祖先断定の誤りを直そう

このレッスンの役割

このレッスンは「系統樹を読もう」6レッスンの5番目です。ここまでに、共通祖先をたどり、枝の回転を見抜き、特徴表から簡単な系統樹を作りました。ここでは、系統樹で起こりやすい三つの誤解を直します。

完成の目安は、「見た目が似る」「左から右へ進歩する」「現生種が別の現生種の祖先である」という説明の問題点を指摘し、分岐点を使う文へ直せることです。

知る・理解する

系統樹は、生物の優劣や完成度を並べた階段ではありません。読む基準は共通祖先と分岐順です。

誤解 なぜ誤りか 直した読み方
見た目が似るほど近縁 同じ環境で似た形が独立に生じることがある 複数の特徴や遺伝情報と分岐点を見る
左から右へ進化する 先端の配置は回転・交換できる 根元から各枝へ分かれた順を見る
現生種Aが現生種Bの祖先 多くの場合AとBは共通祖先から分かれた別系統 「AとBは共通祖先をもつ」と書く

系統樹を階段として読まない誤った一直線の矢印と、正しい枝分かれの系統樹を比較し、現生種AとBが共通祖先から分かれたことを示す。進化はゴールへ進む一列の階段ではない誤った一直線の物語AB完成形共通祖先からの枝分かれ現生種A現生種B共通祖先先端どうしを祖先と子孫にしない

たとえばイルカとサメは流線形で似ていますが、イルカは哺乳類、サメは魚類の別系統です。水中を効率よく進むという似た条件のもとで、似た形が生じました。見た目だけで系統を決める危険が分かります。

具体例で使う

「ヒトは現在のサルから進化した」という文を直します。ヒトと現在のチンパンジーは、どちらかがもう一方の祖先なのではなく、過去の共通祖先から分かれた別の系統です。

また、系統樹の右端にヒトが置かれていても、「ヒトが最も進化している」とは読めません。チンパンジーの系統も、分岐後に同じだけ現在まで世代を重ねています。

証拠に合う文は、「ヒトとチンパンジーは、ゴリラとの共通祖先より新しい共通祖先を共有する」のように、分岐点で表します。

誤答を直して次の学びへつなげる

「翼があるので鳥とコウモリが最も近縁」は、翼の機能的な類似だけで判断しています。骨格や遺伝情報なども含めて系統を考えます。

「古い姿のままの生物は進化していない」も誤りです。形が大きく変わらなくても、集団は世代を重ね、環境との関係の中で進化しています。

次は、未知の系統樹と特徴表を組み合わせ、類縁関係・形質獲得位置・資料の限界を一つの説明にまとめます。

自分で確かめよう

確認1:イルカとサメの形が似ていても近縁と限らない理由は?似た水中環境で、似た形が別々に生じた可能性があるからです。
確認2:「ヒトは現在のチンパンジーから進化した」をどう直す?ヒトとチンパンジーは、過去の共通祖先から分かれた別の系統です。
確認3:系統樹で優劣を判断できる?できません。系統樹は共通祖先と分岐関係を表し、完成度や価値の順位を表しません。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。