変異と選択の役割を分けて説明しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、有利な個体差が環境変化より前からあったかを時間順で確かめました。ここでは、個体差を生む変異と、形質割合を変える選択の役割を分けます。
完成の目安は、「選択が必要な変異を作る」のではなく、変異による差のうち、環境との関係で子孫数に差が生じ、集団の割合が変わると説明できることです。
知る・理解する
変異は、生物の遺伝情報や形質に違いを生むもとです。変異が「今の環境で必要な方向だけ」に生じるとは限りません。役立つもの、ほとんど影響しないもの、不利なものがあります。どの結果になるかは環境との組合せで変わります。
選択は新しい変異を注文して作る過程ではありません。すでにある遺伝する差に対して、生存・繁殖数の差が生じ、世代を重ねて割合が変わる過程です。
変異が生じることと、その変異が集団に広がることは別です。有利な変異でも遺伝しなければ次世代へ広がりません。遺伝しても、偶然子を残さなければ消えることがあります。
具体例で使う
細菌集団に薬剤を使う前から、遺伝情報の違いによって抵抗性をもつ少数個体がいました。薬剤下では感受性個体が多く減り、抵抗性個体が多く増殖しました。
ここで変異の役割は抵抗性を含む個体差を生じさせたこと、選択の役割は薬剤環境で抵抗性個体が多く子孫を残し、割合を増やしたことです。「薬剤が必要な変異だけを起こした」とは説明しません。
薬剤がない環境で抵抗性の維持に余分なエネルギーが必要なら、感受性個体の方が増えやすい場合もあります。同じ変異の結果は環境で変わります。
誤答を直して次の学びへつなげる
「自然選択が抵抗性を作った」は、変異と選択の役割を混同しています。
「変異は全部有利」は誤りです。影響は環境との関係で異なります。
次は、同じ二つの形質を異なる環境へ置き、有利な形質が逆転する資料を読みます。適応が形質単独の優秀さでないことを確かめます。
自分で確かめよう
確認1:変異の主な役割は?
遺伝情報や形質に違いを生み、集団内の個体差のもとになることです。確認2:選択の主な役割は?
環境との関係で生存・繁殖数に差を生じさせ、世代を重ねて形質割合を変えることです。確認3:同じ変異はどの環境でも有利?
いいえ。利点や制約は環境との組合せで変わります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。