未知生物の系統仮説を複数証拠で評価しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「進化の複数の証拠を組み合わせる」6レッスンの最後です。ここまでに、証拠と問い、観察事実、独立性、配列差、典型誤答を学びました。ここでは、未知生物の複合資料から最もよく支えられる系統仮説を選びます。
完成の目安は、各証拠を同じ表へ整理し、支持・反証・不足を示して、結論の確かさを資料の範囲に合わせて書けることです。
知る・理解する
初見の複合資料では、次の順に考えます。
- 比べる系統仮説を明確にする。
- 各資料から観察事実だけを抜き出す。
- その事実がどの仮説を支持・反証するか分ける。
- 証拠の独立性と比較条件を確認する。
- 最も多くの質のよい証拠を説明する仮説を暫定採用する。
- 合わない証拠と追加調査を残す。
「支持が三つだから必ず正しい」という多数決ではありません。三つが同じ元資料の複製なら強くありません。反対に、独立した化石・骨格・DNAが同じ分岐順を示すなら、仮説の説明力は高まります。
具体例で使う
未知生物A・B・Cについて、仮説H1は「AとBが近縁」、H2は「AとCが近縁」です。骨格ではAとBに同じ骨の接続、発生では三種に共通する初期構造、DNA差はA-Bが2、A-Cが8、B-Cが7です。化石はAとBに共通する特徴をもつ古い種Xを示します。
骨格、DNA、化石はH1と合います。発生資料は三種すべての古い共通性を示しますが、A-BとA-Cのどちらが近いかは区別しません。したがって「H1が複数の独立証拠により、H2よりよく支持される」と書けます。
ただし、種XがAとBの直接祖先とは断定できず、別系統の近縁種かもしれません。追加の化石や複数配列が必要です。
誤答を直して次の学びへつなげる
「発生資料もH1を支持する」は、三種すべてに共通するだけならH1とH2を区別できません。未判定とします。
「H1が正しいので、合わない資料は無視する」は結論から証拠を選んでいます。
次の「進化に関する資料を考察する」では、ここで身につけた証拠評価を、設問の条件やグラフを含む入試型の資料考察へ広げます。
自分で確かめよう
確認1:仮説を区別できない資料はどう記録する?
無理に支持・反証へ入れず、「未判定」または「どちらとも一致」と記録します。確認2:H1を支える独立証拠は?
例では骨格の接続、DNA配列差、化石の特徴と時系列です。確認3:結論に含める限界は?
資料で区別できない点、反する資料、直接祖先と断定できない点、必要な追加証拠です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。