LESSON 01

適応は目的をもって起こらない

努力・必要・完成形という三つの誤解を直そう

「適応は目的をもって起こらない」第5段階。努力・必要・完成形という三つの誤解を直します。

努力・必要・完成形という三つの誤解を直そう

このレッスンの役割

このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの5番目です。前のレッスンでは、環境が変わると有利な形質が逆転することを確かめました。ここでは目的論に多い三つの誤解を、戻るべき証拠と一緒に修正します。

完成の目安は、個体の努力、必要に応じた変異、進化の完成形という誤りを見分け、個体と集団、変異と選択、利点と制約へ戻せることです。

知る・理解する

誤解 最初のずれ 戻る証拠
使った器官が発達し、そのまま子へ伝わる 個体の変化と遺伝を混同 親子・世代の遺伝資料
必要な変異だけが生じる 結果を変異の原因にする 環境変化前の個体差
進化は完成形へ向かう 環境との関係を優劣にする 環境変更で結果が逆転する資料

目的論の三つの誤解と修正先努力、必要、完成形という三つの誤解を、個体と集団、変異と選択、形質と環境の組合せへ対応させる。誤答の言葉から、戻る証拠を選ぶ努力したから個体の獲得変化必要だったから都合よい変異完成形へ進む優劣の階段個体と集団遺伝・世代を確認変異と選択役割を分ける形質と環境利点と制約言葉を消すだけでなく、証拠に合う因果へ置き換える

誤答修正は「その言い方は禁止」で終わりません。どこで因果がずれたかを特定し、資料から言える文に作り直します。

具体例で使う

誤答「洞窟の魚は目を使わなかったので、子どもも目が小さくなった」を直します。使わなかった個体の変化が、そのまま子へ伝わる証拠はありません。

修正文は、「祖先集団には目の発達に関係する遺伝する個体差があり、暗い洞窟環境で一部の形質が生存・繁殖に不利にならず、別の利点や偶然も関係して、世代を重ねて割合が変化した可能性がある」とします。具体的な原因を決めるには遺伝、繁殖、エネルギー利用などの資料が必要です。

「目がない方が完成形」とも言いません。明るい環境では視覚を失うことが不利になる可能性があります。

誤答を直して次の学びへつなげる

努力の文には「その変化は遺伝するか」、必要の文には「変化前から差はあったか」、完成形の文には「環境を変えたら結果はどうなるか」と問い返します。

次は、未知の目的論的な説明を、時間順・個体差・遺伝・繁殖差・割合変化を含む文章へ自力で書き換えます。

自分で確かめよう

確認1:「鍛えた筋肉が子へ伝わる」はどの誤解?個体が生活中に得た変化と、遺伝する変化を混同する「努力」の誤解です。
確認2:「薬剤が必要な抵抗性変異を起こした」はどの誤解?必要な方向へ変異が生じるとする誤解です。使用前の個体差を確認します。
確認3:「人間は進化の完成形」が誤りなのはなぜ?進化に決まったゴールや優劣の階段はなく、形質の利点と制約は環境で変わるからです。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。