努力・必要・完成形という三つの誤解を直そう
このレッスンの役割
このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの5番目です。前のレッスンでは、環境が変わると有利な形質が逆転することを確かめました。ここでは目的論に多い三つの誤解を、戻るべき証拠と一緒に修正します。
完成の目安は、個体の努力、必要に応じた変異、進化の完成形という誤りを見分け、個体と集団、変異と選択、利点と制約へ戻せることです。
知る・理解する
| 誤解 | 最初のずれ | 戻る証拠 |
|---|---|---|
| 使った器官が発達し、そのまま子へ伝わる | 個体の変化と遺伝を混同 | 親子・世代の遺伝資料 |
| 必要な変異だけが生じる | 結果を変異の原因にする | 環境変化前の個体差 |
| 進化は完成形へ向かう | 環境との関係を優劣にする | 環境変更で結果が逆転する資料 |
誤答修正は「その言い方は禁止」で終わりません。どこで因果がずれたかを特定し、資料から言える文に作り直します。
具体例で使う
誤答「洞窟の魚は目を使わなかったので、子どもも目が小さくなった」を直します。使わなかった個体の変化が、そのまま子へ伝わる証拠はありません。
修正文は、「祖先集団には目の発達に関係する遺伝する個体差があり、暗い洞窟環境で一部の形質が生存・繁殖に不利にならず、別の利点や偶然も関係して、世代を重ねて割合が変化した可能性がある」とします。具体的な原因を決めるには遺伝、繁殖、エネルギー利用などの資料が必要です。
「目がない方が完成形」とも言いません。明るい環境では視覚を失うことが不利になる可能性があります。
誤答を直して次の学びへつなげる
努力の文には「その変化は遺伝するか」、必要の文には「変化前から差はあったか」、完成形の文には「環境を変えたら結果はどうなるか」と問い返します。
次は、未知の目的論的な説明を、時間順・個体差・遺伝・繁殖差・割合変化を含む文章へ自力で書き換えます。
自分で確かめよう
確認1:「鍛えた筋肉が子へ伝わる」はどの誤解?
個体が生活中に得た変化と、遺伝する変化を混同する「努力」の誤解です。確認2:「薬剤が必要な抵抗性変異を起こした」はどの誤解?
必要な方向へ変異が生じるとする誤解です。使用前の個体差を確認します。確認3:「人間は進化の完成形」が誤りなのはなぜ?
進化に決まったゴールや優劣の階段はなく、形質の利点と制約は環境で変わるからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。