LESSON 01

適応は目的をもって起こらない

環境変化より前から個体差があったか確かめよう

「適応は目的をもって起こらない」第2段階。環境変化前から個体差があったか時間順で確かめます。

環境変化より前から個体差があったか確かめよう

このレッスンの役割

このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの2番目です。前のレッスンでは、働きと進化原因を区別しました。ここでは、環境が変わる前・直後・数世代後の資料を並べ、個体差がいつ存在したかを確かめます。

完成の目安は、「必要になってから有利な形質が生じた」という仮説と、「変化前からあった個体差が選択された」という仮説を、時間順の証拠で比べられることです。

知る・理解する

原因は結果より前に存在します。薬剤使用後に抵抗性個体が増えたとしても、それだけでは薬剤が抵抗性を作ったとは言えません。使用前の集団に抵抗性があったかを調べます。

時点 調べること 分かること
環境変化前 形質の種類と割合 個体差が先にあったか
変化直後 各形質の生存率 環境との関係による差
数世代後 形質割合 遺伝と繁殖を通じた集団変化

環境変化前から世代後までの時間順薬剤使用前に少数の抵抗性個体が確認され、使用直後に抵抗性個体が多く残り、数世代後に割合が増える。原因と結果の時間順を示す。「いつあったか」を先に確かめる変化前抵抗性5%を確認薬剤使用直後抵抗性が多く生存数世代後抵抗性70%抵抗性は薬剤より前から存在薬剤下の生存・繁殖差で割合が変化「後に増えた」だけで「そのとき作られた」とは言えない

使用前に少数でも抵抗性が確認されれば、「薬剤が必要な抵抗性を初めて作った」という説明と合いません。環境変化は、すでにある個体差に対して生存・繁殖の差を生じさせたと考えられます。

具体例で使う

害虫1000個体から薬剤使用前に100個体を無作為に調べると、3個体が抵抗性でした。薬剤使用直後は抵抗性個体の80%、感受性個体の10%が生存しました。5世代後、抵抗性は集団の65%になりました。

抵抗性は使用前から3%確認されています。薬剤下で生存率に差があり、世代後に割合が増えています。この時間順は、既存の個体差に対して選択が働いた説明を支持します。

ただし、最初の100個体が集団を代表する選び方だったか、別集団から抵抗性個体が移入していないかも確認します。

誤答を直して次の学びへつなげる

「薬剤後に抵抗性が増えたので、薬剤が抵抗性を作った」は、変化前の3%を無視しています。

「先に存在したから自然選択が証明された」も早計です。遺伝、繁殖差、複数世代の割合変化も必要です。

次は、個体差を生む変異と、環境との関係で割合を変える選択を、別の役割として説明します。

自分で確かめよう

確認1:環境変化前の資料が重要なのはなぜ?有利な個体差が変化前から存在したか、必要になってから生じたのかを区別する手がかりになるからです。
確認2:使用前3%、数世代後65%なら何を支持する?使用前から抵抗性があり、薬剤下の生存・繁殖差を通じて割合が増えた説明を支持します。
確認3:時間順だけで自然選択を確定できる?できません。形質の遺伝、生存・繁殖差、移入や標本の偏りも確認します。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。