環境変化より前から個体差があったか確かめよう
このレッスンの役割
このレッスンは「適応は目的をもって起こらない」6レッスンの2番目です。前のレッスンでは、働きと進化原因を区別しました。ここでは、環境が変わる前・直後・数世代後の資料を並べ、個体差がいつ存在したかを確かめます。
完成の目安は、「必要になってから有利な形質が生じた」という仮説と、「変化前からあった個体差が選択された」という仮説を、時間順の証拠で比べられることです。
知る・理解する
原因は結果より前に存在します。薬剤使用後に抵抗性個体が増えたとしても、それだけでは薬剤が抵抗性を作ったとは言えません。使用前の集団に抵抗性があったかを調べます。
| 時点 | 調べること | 分かること |
|---|---|---|
| 環境変化前 | 形質の種類と割合 | 個体差が先にあったか |
| 変化直後 | 各形質の生存率 | 環境との関係による差 |
| 数世代後 | 形質割合 | 遺伝と繁殖を通じた集団変化 |
使用前に少数でも抵抗性が確認されれば、「薬剤が必要な抵抗性を初めて作った」という説明と合いません。環境変化は、すでにある個体差に対して生存・繁殖の差を生じさせたと考えられます。
具体例で使う
害虫1000個体から薬剤使用前に100個体を無作為に調べると、3個体が抵抗性でした。薬剤使用直後は抵抗性個体の80%、感受性個体の10%が生存しました。5世代後、抵抗性は集団の65%になりました。
抵抗性は使用前から3%確認されています。薬剤下で生存率に差があり、世代後に割合が増えています。この時間順は、既存の個体差に対して選択が働いた説明を支持します。
ただし、最初の100個体が集団を代表する選び方だったか、別集団から抵抗性個体が移入していないかも確認します。
誤答を直して次の学びへつなげる
「薬剤後に抵抗性が増えたので、薬剤が抵抗性を作った」は、変化前の3%を無視しています。
「先に存在したから自然選択が証明された」も早計です。遺伝、繁殖差、複数世代の割合変化も必要です。
次は、個体差を生む変異と、環境との関係で割合を変える選択を、別の役割として説明します。
自分で確かめよう
確認1:環境変化前の資料が重要なのはなぜ?
有利な個体差が変化前から存在したか、必要になってから生じたのかを区別する手がかりになるからです。確認2:使用前3%、数世代後65%なら何を支持する?
使用前から抵抗性があり、薬剤下の生存・繁殖差を通じて割合が増えた説明を支持します。確認3:時間順だけで自然選択を確定できる?
できません。形質の遺伝、生存・繁殖差、移入や標本の偏りも確認します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。