世代ごとの記録から集団の変化を確かめよう
このレッスンの役割
このレッスンは「進化は世代を重ねた変化」6レッスンの2番目です。前のレッスンで、進化の主語は集団、時間は複数世代だと整理しました。ここでは、その変化を確かめるための記録方法を学びます。
完成の目安は、複数世代を同じ方法で調べ、標本数が違う場合は割合へ直し、一匹の変化ではなく集団全体の傾向を根拠として読めることです。
知る・理解する
世代間を比べるには、測り方をそろえます。同じ地域、同じ季節、同じ年齢段階、同じ形質の判定基準などです。第1世代では成体だけ、第10世代では幼体だけを測れば、世代差と成長段階の差が混ざります。
また、調べた個体数が異なるときは、形質をもつ個体数だけでなく割合を求めます。第1世代で20匹、第10世代で30匹見つかっても、調べた総数が50匹と300匹なら、割合は40%と10%で、むしろ減っています。
一個体だけの観察で集団の変化を決めることもできません。できるだけ複数個体を同じ基準で記録し、世代ごとの分布や割合を比べます。
記録は、形質Xの有無だけでなく、調査総数も必ず残します。総数が分からないと割合を計算できず、世代間の比較が不安定になります。
具体例で使う
同じ島の昆虫について、体色が濃い個体を10世代ごとに調べたとします。
- 第1世代:濃い個体24匹/全体120匹=20%
- 第10世代:濃い個体55匹/全体110匹=50%
- 第20世代:濃い個体88匹/全体110匹=80%
同じ方法で記録したなら、濃い体色の個体の割合が世代を重ねて増えたといえます。ただし、この記録だけでは、なぜ増えたかまでは決まりません。環境、移入、偶然など原因を考えるには追加の資料が必要です。
「変化した事実」と「変化した原因」を分けることが重要です。まず割合の変化を正確に確認し、その後で原因の仮説を立てます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「第10世代に濃い個体が55匹いたから、第20世代の88匹より進化していない」のように個体数だけで比べると、調査総数を無視します。割合へ直しましょう。
「第1世代は夏、第20世代は冬に調べ、体色が変化した」は、季節差と世代差を分けられません。調査条件をそろえる必要があります。
「濃い個体一匹を見つけたので集団が進化した」は、個体差と集団の傾向を混同しています。複数個体を調べ、集団内の割合を比較します。
次は、集団内の個体差、親子での遺伝、世代交代をつなぎ、割合が世代を通して変わる流れをモデルにします。
自分で確かめよう
確認1:世代比較でそろえる条件を二つ挙げると?
地域、季節、年齢段階、判定基準、採集方法などから二つ挙げられます。確認2:20匹/50匹と30匹/300匹では、どちらの割合が高い?
20÷50=40%、30÷300=10%なので、20匹/50匹の方が高いです。確認3:形質の割合が増えた資料だけで、増えた原因まで断定できる?
できません。変化の事実は示せますが、原因には環境や移入、偶然など追加の証拠が必要です。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。