水中から陸上への変化を構造と働きで説明しよう
このレッスンの役割
このレッスンは「脊椎動物の変遷」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、化石の年代・骨格・環境を同じ項目で記録しました。ここでは、形の違いを暗記するのではなく、構造がどんな働きをもち、どの環境条件と関係するかを説明します。
完成の目安は、ひれと四肢、えらと肺、体表と卵について、構造→働き→環境の鎖を作り、移行的な特徴をもつ化石の意味を説明できることです。
知る・理解する
水中と陸上では、体に働く力も、酸素を得る場所も、乾燥の条件も違います。そのため、同じ「移動」「呼吸」「繁殖」でも、役立つ構造が異なります。
ひれは水を押して進むのに適しています。内部の骨が体を支えられる配置になり、関節や指をもつ四肢は、浅瀬や陸上で地面を押し、重力に逆らって体を支える働きに関係します。
えらは水に溶けた酸素を取り込みます。肺は体内の湿った面で空気中の酸素を取り込みます。乾燥を抑える体表や、発生中の水分を保つ殻のある卵は、水から離れた陸上生活や繁殖との関係を強めます。
移行的な化石は、「魚と両生類が半分ずつで不完全な生物」ではありません。その生物は、その時代の環境で生きていた完成した一個体です。私たちが後から比べると、古いグループに多い特徴と、後に現れるグループに多い特徴を併せもつため、変遷を考える手がかりになります。
具体例で使う
化石Rには、ひれの外形があります。しかし内部には、上腕骨に対応する太い骨、その先に橈骨・尺骨に対応する二本の骨が並びます。これは水を押すひれの働きをもちながら、四肢と共通する基本構造ももつ証拠です。
化石Sには指の骨と、強い胸部の骨格があります。一方で、水中移動に関係する尾の特徴も残ります。Sを「陸上動物」か「水中動物」かの二択に押し込むより、水辺で体を支えることと水中移動の両方に関係する特徴の組合せとして読む方が、資料に合います。
記述では、「Rはひれの中に四肢と同じ位置関係の骨をもち、Sは指と水中移動に関係する尾を併せもつ。このような共通点と相違点は、水中生活に関係する脊椎動物から陸上も利用する脊椎動物への変遷を考える証拠になる」と説明できます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「陸へ上がりたかった一匹の魚が、ひれを足に変えた」は、個体の必要を原因にした目的論です。実際には、集団内の違いと世代を重ねた変化として考えます。
「移行的な化石は中途半端で生きにくい」は、現在の分類を過去の生物へ押しつけています。特徴の組合せが、その当時の環境でどんな働きをしたかを考えます。
次は、年代と共有する特徴を使い、変遷を一直線ではなく枝分かれとして組み立てます。
自分で確かめよう
確認1:四肢の骨格は陸上で何に役立つ?
地面を押し、重力に逆らって体を支える働きに関係します。確認2:移行的な化石とは不完全な生物の化石?
いいえ。その時代に生きていた生物で、比較すると古い特徴と後に現れる特徴を併せもつ資料です。確認3:水中の尾と指をもつ化石から何が言える?
水中移動と、浅瀬や陸上で体を支えることの両方に関係する特徴をもつ可能性があり、変遷の手がかりになります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。