大きな液胞と細胞の張りを結びつけよう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、葉緑体を光合成と結びつけました。今回は、成長した植物細胞の内部で大きく見える液胞を扱います。
このレッスンの仕事は、液胞を「空白の部分」と見なさず、水やさまざまな物質を含むつくりとして理解し、液胞・細胞壁・植物の張りを一つの因果で説明することです。
知る・理解する
液胞は、細胞液を含むつくりです。細胞液には水を中心に、さまざまな物質が含まれます。若い植物細胞では小さな液胞がいくつか見られることがありますが、細胞が成長すると一つの大きな液胞が内部の広い部分を占めることがあります。
液胞が水を十分に含むと、細胞の内側から外向きに押す状態になります。外側の丈夫な細胞壁がその押す力を受け止めるため、細胞は張りのある状態を保ちやすくなります。多くの細胞が張りを保つと、葉や茎もぴんとしやすくなります。
この模式図は関係を強調しています。実際には液胞だけが単独で細胞を支えるのではありません。「水を含む内部」と「丈夫な細胞壁」の組合せが大切です。
液胞には物質を含む役割もあります。植物の花びらや果実の色に関係する色素、不要になった物質などが含まれる場合があります。ただし、植物の種類や細胞の部位によって中身は異なります。
例題で使う・転用する
例題:新鮮な葉としおれた葉から同じ場所の細胞を観察しました。新鮮な葉の細胞は内部が細胞壁近くまで広がり、しおれた葉では内部が縮んだように見えました。しおれた理由を説明しましょう。
- 観察:しおれた葉では、細胞の内部が縮んだように見える。
- 知識:液胞は水を含み、内側から細胞壁を押す状態に関わる。
- 因果:水が減る→内側から押す力が弱まる→多くの細胞の張りが弱まる→葉がしおれる。
完成した説明:細胞内、とくに液胞に含まれる水が減り、内側から細胞壁を押す力が弱くなったため、細胞と葉の張りが失われたと考えられる。
転用:水を与えた後に葉の張りが戻ったなら、この説明を支持する証拠になります。ただし、病気や茎の損傷でもしおれることがあるため、一つの観察だけで原因を断定しません。
よくある間違いを直す
誤り1:「液胞は何もない空洞」
液胞には細胞液があり、水やさまざまな物質を含みます。顕微鏡像で透明に見えても空ではありません。
誤り2:「細胞壁だけが植物をぴんと立たせる」
細胞壁は丈夫な枠ですが、内側から押す力が弱いと張りは失われます。液胞が水を含むこととの組合せで考えます。
誤り3:「液胞はいつも一個で同じ大きさ」
若い細胞では小さい液胞が複数ある場合があり、成長に伴って大きくなることがあります。
理解チェックと次の一歩
確認1:液胞の中には何がある?
水を中心に、さまざまな物質を含む細胞液があります。確認2:液胞と細胞壁はどう協力して細胞の張りを保つ?
液胞を含む細胞内部が水を十分に含んで外向きに押し、丈夫な細胞壁がその力を受け止めます。確認3:葉がしおれたら、必ず水不足と言える?
必ずとは言えません。水不足は有力な説明ですが、病気や茎の損傷など別の原因もあり得るため、給水後の変化など追加の証拠を確かめます。「液胞が水を含む→内側から押す→細胞壁が受け止める→張りを保つ」と説明できれば完了です。次は、葉・根・タマネギという異なる部位で、三つのつくりがどう見えるかを予測します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。