未知の顕微鏡資料から倍率と実寸を統合して求めよう
このレッスンの役割
このセクションの最後です。総合倍率、視野直径、視野面積、細胞数、実寸と単位を、問題の目的に応じて選んで使います。
完成の目安は、すべての数字を無理に使わず、求める量から逆向きに必要な関係を選び、結果が資料全体と矛盾しないか検算できることです。
知る・理解する
初見問題では、先に「何を求めるか」を決めます。
- 総合倍率なら、接眼倍率×対物倍率。
- 新しい視野直径なら、倍率と反比例。
- 視野全体の細胞数なら、視野面積の比。
- 一個の実寸なら、視野直径÷直径上の個数。
- 最後に単位と近似条件を確認する。
画面上の写真が大きく表示されても、細胞の実寸は変わりません。倍率の記載、視野直径、スケールバーなど、標本に結びついた基準を使います。
例題で使う・転用する
顕微鏡Aは接眼10倍・対物10倍で、視野直径は1.8 mmです。顕微鏡Bは同じ接眼レンズで対物40倍です。Bの視野直径上に細胞が約9個並びました。一個の長さを求めます。
- Aの総合倍率は10×10=100倍。
- Bの総合倍率は10×40=400倍。
- 倍率は4倍なので、Bの視野直径は1.8÷4=0.45 mm。
- 一個の長さは0.45÷9=0.050 mm。
- 0.050 mm=50 μm。
答えは約50 μmです。Bの視野に9個並ぶなら、9×0.050=0.45 mmとなり、視野直径に戻るので検算できます。
よくある間違いを直す
問題文の数字をすべて使う必要はありません。視野全体の細胞数が書かれていても、直径上の個数が分かれば実寸計算にはそちらを使います。
写真をスマートフォンで拡大して定規で測っても、実寸は求まりません。表示倍率は変えられるため、スケールバーや視野直径が必要です。
二枚の写真で細胞の見かけの大きさが違っても、同じ標本を異なる倍率で撮っただけかもしれません。倍率と視野の対応を計算してから、生物学的な大きさの違いを判断します。
理解チェックと次の一歩
確認1:400倍の視野直径0.60 mmに12個並ぶ細胞の実寸は?
0.60÷12=0.050 mm=約50 μmです。確認2:100倍から500倍にすると視野直径はどうなる?
倍率は5倍なので、同じ装置なら視野直径はおよそ1/5になります。確認3:計算後に行う三つの検算は?
単位が問いに合うか、桁が不自然でないか、個数×実寸が視野直径など元の資料と一致するかを確認します。次のセクションでは、顕微鏡写真と模式図を読み比べます。ここで身につけた倍率・スケール・実寸の判断が、「図で大きく描かれたものが実物でも大きい」という誤解を防ぎます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。