役割の違う細胞が物質を受け渡して協力するしくみを考えよう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、多細胞生物の細胞が異なる仕事を受け持つことを学びました。役割分担は、細胞が孤立することではありません。分担した仕事をつなぐ協力が必要です。
このレッスンの仕事は、酸素・養分・水・不要物などの受け渡しを追い、一つの種類の細胞の働きが低下すると、離れた細胞や個体全体へ影響が広がる理由を説明することです。
知る・理解する
動物の筋肉を例にします。筋肉の細胞は運動を担当しますが、その活動に必要な酸素や養分を自分だけで外界から得ることはできません。呼吸で取り入れた酸素や、消化で得た養分が運ばれてきます。活動で生じた二酸化炭素などは、別の場所へ運び去られます。
植物でも同じ考え方を使えます。根で取り入れた水は葉へ運ばれ、葉でつくられた養分は成長する部分や根へ運ばれます。詳しい運搬のつくりは別のコースで学びます。ここでは、異なる仕事が物質の流れで結ばれることをつかみます。
| 担当 | 受け取るもの | 渡すもの | 個体への働き |
|---|---|---|---|
| 筋肉の細胞 | 酸素・養分・情報 | 二酸化炭素など | 体を動かす |
| 葉の細胞 | 水・二酸化炭素・光 | 養分・酸素 | 光合成を行う |
| 根の細胞 | 土中の水など | 体内へ渡す | 植物へ水などを取り入れる |
例題で使う・転用する
例題:ある動物で、酸素を運ぶ細胞の数だけが大きく減りました。筋肉の細胞そのものに異常がなくても、運動を続けにくくなる理由を説明しましょう。
酸素を運ぶ細胞が減ると、筋肉へ届く酸素が少なくなります。筋肉の細胞は自分の活動に必要な条件を他の細胞に依存しています。
答え:酸素を運ぶ細胞が減ると筋肉の細胞へ届く酸素が不足し、筋肉細胞の生命活動と収縮を続けにくくなるため、個体の運動能力も低下する。
転用:植物で根からの水の取り込みが弱まると、葉の細胞へ届く水が減り、光合成や細胞の張りに影響します。障害のある場所と、結果が表れる場所が同じとは限りません。
よくある間違いを直す
誤り1:「役割分担とは、各細胞が一人で仕事を完結すること」
仕事を分けた後、物質や情報を受け渡してつなぐ必要があります。
誤り2:「筋肉が動かないなら筋肉細胞だけが原因」
酸素や養分の運搬、情報伝達など別の細胞の働き低下も原因になり得ます。
誤り3:「すべての細胞が外界から直接物質を得る」
体の内部の細胞は、他の細胞や運搬のしくみを通して物質を受け取ります。
理解チェックと次の一歩
確認1:役割分担した細胞をつなぐものは?
酸素・養分・水・不要物などの物質の流れや、活動を調整する情報のやり取りです。確認2:酸素を運ぶ細胞が減ると筋肉へ影響するのはなぜ?
筋肉の細胞は活動に必要な酸素の供給を運搬する細胞へ依存しているからです。確認3:根の働き低下が葉に影響する因果を言うと?
根から取り入れて葉へ運ばれる水が減り、葉の光合成や細胞の張りに必要な条件が不足するためです。細胞の仕事を物質の受け渡しでつなぎ、離れた影響まで説明できれば完了です。次は、単細胞と多細胞の二つの生き方を、優劣ではなく条件と仕組みで比べます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。