LESSON 01

植物細胞だけに目立つつくり

葉・根・タマネギの細胞を役割から比べよう

同じ植物でも部位の仕事によって目立つ構造が違うことを、観察像の比較から確かめます。

葉・根・タマネギの細胞を役割から比べよう

このレッスンの役割

ここまで、細胞壁は形の支え、葉緑体は光合成、液胞は水や物質を含み張りに関わる、と一つずつ理解しました。今回は知識を使い、同じ植物でも部位によって細胞の見え方が違う理由を考えます。

このレッスンの仕事は、「植物細胞はこの一枚の図の通り」と決めつけず、葉・根・タマネギのりん葉という部位の役割から、どのつくりが目立つかを予測し、観察結果で確かめることです。

知る・理解する

同じ一個体の植物でも、すべての細胞が同じ仕事をしているわけではありません。葉は光を受けて光合成を行い、根は土の中から水や無機養分を取り入れます。タマネギのりん葉は養分をたくわえる部分で、その内側の表皮は保護する役割があります。

役割が違えば、目立つつくりも変わります。

部位 主な環境・役割 細胞壁 葉緑体 大きな液胞
光を受け、光合成を行う ある 多く見えやすい 成長した細胞で見られる
土中で水などを取り入れる ある ふつう見られない 見られることがある
タマネギのりん葉の内側の表皮 光をほぼ受けず、表面を保護する はっきり見えやすい ふつう見られない 大きく見えやすい

植物の部位と細胞の目立つ構造葉、根、タマネギ表皮の役割と細胞像を対応させた図葉:光合成根:吸収タマネギ表皮:保護葉緑体が目立つ葉緑体は目立たない細胞壁・液胞が見やすい同じ植物でも、部位の仕事に合う見え方になる

この表は代表的な傾向です。実際の観察では、若い細胞か成長した細胞か、どこを切り取ったか、染色したかによって見え方が変わります。「見えない」と「存在しない」は同じではありません。

例題で使う・転用する

例題:三つの顕微鏡像があります。

  • A:緑色の粒が多数あり、細胞の外形も見える。
  • B:細長い細胞が並び、外形ははっきりするが緑色の粒はない。
  • C:細胞の一部が細長く伸び、緑色の粒はない。

Aは葉、Bはタマネギのりん葉の表皮、Cは根毛を含む根の細胞の候補です。

Aは葉緑体が多く、光を受ける葉という予測に合います。Bは細胞壁が規則的に並び、光を受けない表皮なので葉緑体がないことと合います。Cの細長い突起は、水に触れる面積を広くする根毛の形と合います。

ここで大切なのは、名前当てだけではなく「観察した特徴→部位の役割→判断」という順で説明することです。

転用:緑色の粒がない植物細胞の写真を示されても、すぐ動物細胞とはしません。細胞壁のような外形、大きな液胞、試料の部位、細胞の並び方を追加して判断します。

よくある間違いを直す

誤り1:「教科書の植物細胞図が、すべての植物細胞の姿」
模式図は代表的な構造を一枚に集めています。部位や成長段階によって見え方は違います。

誤り2:「葉緑体が見えなければ動物細胞」
根やタマネギ表皮も植物細胞ですが、葉緑体はふつう見られません。細胞壁など複数の特徴を見ます。

誤り3:「大きな液胞が見えないから液胞が存在しない」
若い細胞では小さい液胞が分かれていることがあり、観察条件によって境界が見にくい場合もあります。

理解チェックと次の一歩

確認1:葉の細胞で葉緑体が多く見えやすいのはなぜ?葉は光を受けて光合成を行う部位であり、光合成を行う葉緑体が多いことが役割に合うからです。
確認2:葉緑体のない像を動物細胞と判断してはいけない理由は?植物の根やタマネギ表皮などでも葉緑体が見られないからです。細胞壁、液胞、部位、観察条件などを組み合わせます。
確認3:未知の植物細胞像を比べる順番は?観察した特徴を記録し、採取部位の環境と役割を考え、予測と像が合うかを確かめます。見えない構造は観察条件も確認します。

同じ植物の細胞を一つの型にはめず、部位の役割から見え方を予測できれば完了です。次は初見の細胞像で、三つのつくりと植物の生活をまとめて説明します。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。