構造を変えた資料から細胞の役割を推論しよう
このレッスンの役割
これまで、細胞の各部分の働きを知識として学び、協働する流れも説明しました。今回は、最初から働きが書かれていない実験資料を読みます。
このレッスンの仕事は、「ある構造を変えたとき、どの活動が変わったか」を通常の条件と比べ、構造の役割を推論することです。同時に、一つの結果から言いすぎない判断力も身につけます。
知る・理解する
構造の役割を調べる基本は、変える条件を一つにすることです。
- 通常の細胞と、ある構造だけを変えた細胞を用意する。
- 温度、時間、細胞の種類など他の条件をそろえる。
- 生命活動の変化を同じ方法で測る。
- 差がくり返し見られるか確かめる。
- 「その構造がその活動に関わる」と、資料が示す範囲で結論にする。
「見える場所」と「働き」は別です。顕微鏡像で核が中央に見えることは位置の証拠ですが、活動を調整することの証拠には、核を変えたときの活動の変化などが必要です。
例題で使う・転用する
例題:同じ種類の植物細胞をA〜Cに分け、光の強さ以外はそろえました。
| 条件 | 葉緑体 | 光 | 養分がつくられた量 |
|---|---|---|---|
| A | ある | ある | 多い |
| B | ある | ない | ほとんどない |
| C | はたらきを止める処理 | ある | ほとんどない |
AとBの比較から、光が養分をつくる活動に必要だと分かります。AとCの比較から、葉緑体がその活動に関わることが支持されます。二つを合わせると、葉緑体が光を利用して養分をつくる光合成の場であるという説明が強くなります。
ただし、Cの処理が葉緑体以外も傷つけた可能性があれば、葉緑体だけが原因とは断定できません。処理の方法や別の測定も必要です。
転用:細胞膜を傷つけた群で内部物質の流出が増えたなら、細胞膜が内外の区切りに関わると推論できます。核を除いた群で活動が低下したなら、核が活動の維持に関わると推論できます。同じ読み方を別の構造へ使えます。
よくある間違いを直す
誤り1:「そこに見えたから、その働きを証明した」
位置の観察だけでは働きは確定しません。構造を変えた比較と活動の変化が必要です。
誤り2:「差が一回出たので必ず原因である」
他の条件、測定誤差、反復を確かめます。処理が別の部分にも影響した可能性も考えます。
誤り3:「関わる」と「それだけが行う」を同じにする
複数の部分が協働します。資料から言える範囲を「関わる」と表すことが大切です。
理解チェックと次の一歩
確認1:構造の役割を調べる比較で最も大切なことは?
調べたい構造に関する条件だけを変え、温度・時間・細胞の種類など他の条件をそろえることです。確認2:AとCの差だけで葉緑体が唯一の原因と断定できる?
できません。処理が葉緑体以外へ影響していないか、同じ結果が反復されるかなどを確認します。確認3:細胞膜を傷つけて内部物質の流出が増えた資料から何が言える?
細胞膜が細胞の内外を区切り、内部の物質を保つことに関わる、という推論が支持されます。通常と処理後を比べ、観察された差から役割を適切な強さで推論できれば完了です。次は、初見の複数資料から細胞全体の役割分担と協働を説明します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。