未知の単細胞生物を観察資料から説明しよう
このレッスンの役割
このセクションでは、一細胞が一個体になる意味、動き方、栄養と物質交換、分裂による増殖を学びました。最後は、名前の書かれていない観察像・動画・データを組み合わせます。
このレッスンの仕事は、種名当てではなく、同じ一細胞が個体として何を行っているかを証拠から説明することです。動き・栄養・増殖のうち複数の証拠を使い、資料の限界も示します。
知る・理解する
未知資料は次の順で読みます。
- 一細胞の境界を時間を追って確認する。
- 周囲と異なる移動や形の変化を探す。
- 食物の取り込み、光合成、物質交換の証拠を探す。
- 一細胞が二つへ分かれ、別々に活動するかを見る。
- 複数の証拠から、一細胞が一個体かを判断する。
- 倍率や観察時間の不足など、言えない範囲を示す。
種名を特定するには、さらに細かな形、運動器官、葉緑体の有無などが必要です。しかし「単細胞生物である」と判断するには、必ずしも種名まで分からなくてかまいません。問いに必要な深さを守ります。
例題で使う・転用する
例題:池の水から見つけた生物Xについて、次の資料があります。
- 像:一つの境界の内側に核らしい部分と多数の短い毛がある。
- 動画:周囲のごみと違う方向へ進み、障害物で向きを変える。
- 観察記録:食物粒子を体内へ取り込み、数時間後に一つが二つへ分かれ、それぞれ動いた。
短い毛は繊毛の候補です。周囲と違う移動は自身の運動、食物の取り込みは栄養、分裂後に別々に動くことは増殖の証拠です。
答え:Xは一つの細胞が繊毛で移動し、食物を取り込み、分裂して二個体になるため、一細胞が一個体として生活する単細胞生物と考えられる。ゾウリムシの可能性があるが、大きさなど追加資料なしに種名は確定しない。
転用:もしXが動かなくても、ただちに生物でないとは言えません。酵母のように目立って移動しない単細胞生物もいます。栄養利用や増殖、細胞構造という別の証拠を選びます。
よくある間違いを直す
誤り1:「動いたので単細胞生物」
水流で動く粒もあります。自身の運動に加え、栄養や増殖など複数の証拠を使います。
誤り2:「種名が分からないので何も説明できない」
種名が不明でも、一細胞が行う生命活動は説明できます。問いに必要な結論を選びます。
誤り3:「動かないものは単細胞生物ではない」
運動方法は多様です。増殖や物質利用など、別の生命活動を調べます。
理解チェックと次の一歩
確認1:単細胞生物の判定に使える三種類の証拠は?
自身の移動、栄養の獲得や物質交換、分裂後に別々の個体として活動する増殖です。確認2:動いたという一つの証拠だけでは弱いのはなぜ?
水流で運ばれた粒の可能性があるからです。周囲との相対運動や、栄養・増殖の証拠を加えます。確認3:一細胞がすべての仕事を行うことは、次の多細胞生物とどう対照になる?
多細胞生物では多数の細胞が形や働きを変えて役割分担します。次は、その分担が個体の生活をどう支えるかを学びます。複数資料から「一細胞=一個体」を生命活動で説明し、結論の限界まで示せれば、このセクションの出口です。次は「多くの細胞でできた生物」で、役割分担という別の生き方へ進みます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。