一個体をつくる多数の細胞を見渡そう
このレッスンの役割
前のセクションでは、一つの細胞が一個体として移動・栄養・増殖を行う単細胞生物を学びました。今回は反対に、多数の細胞が協力して一個体をつくる多細胞生物を考えます。
このレッスンの仕事は、「細胞がたくさんある」と数だけで覚えず、多数の細胞が同じ個体の一部としてつながり、互いに支え合うことを理解することです。
知る・理解する
多細胞生物は、多数の細胞から一個体ができています。人、魚、昆虫、樹木、草などが例です。一つ一つの細胞は細胞膜で区切られていますが、個体の中では完全に独立して生活しているわけではありません。
単細胞生物では「一細胞=一個体」でした。多細胞生物では「多数の細胞=一個体」です。この違いによって、細胞分裂や細胞の働きの意味も変わります。
| 観点 | 単細胞生物 | 多細胞生物 |
|---|---|---|
| 一個体をつくる細胞数 | 一つ | 多数 |
| 一細胞の分裂 | 個体数が増えることが多い | 個体の成長や修復につながる |
| 生きるための仕事 | 一細胞が一通り行う | 多数の細胞が役割分担する |
| 細胞どうしの関係 | 一細胞で完結 | 物質や情報を受け渡し、互いに依存する |
例題で使う・転用する
例題:ある生物の一部を観察すると、異なる形の細胞がつながり、一部は物質を運び、別の一部は体を動かしていました。この生物が多細胞生物だと考えられる理由を説明しましょう。
細胞が多いだけでなく、異なる細胞が同じ個体の中で別の仕事を担当し、協力していることが根拠です。
答え:多数の細胞が一個体をつくり、物質の運搬や運動を役割分担して協力しているため、多細胞生物と考えられる。
転用:酵母が多数集まって見えても、一つ一つが個体として増えるなら単細胞生物です。細胞の集まりかどうかだけでなく、一個体の境界と役割分担を確認します。
よくある間違いを直す
誤り1:「細胞が多く見えたら多細胞生物」
単細胞生物が集まっている場合もあります。一個体の中で細胞が役割分担しているかを見ます。
誤り2:「多細胞生物の各細胞は、それぞれ独立した個体」
各細胞は同じ個体の一部で、他の細胞から物質や情報を受け取ります。
誤り3:「多細胞生物では、一つの細胞は生命活動をしない」
各細胞も生命活動を行います。ただし個体全体の仕事を一細胞だけで完結せず、分担します。
理解チェックと次の一歩
確認1:多細胞生物とは?
多数の細胞が一個体をつくり、細胞どうしが役割分担して協力する生物です。確認2:細胞の集まりだけで多細胞生物と決められないのはなぜ?
単細胞生物が集まっている場合があるからです。一個体の境界と細胞間の役割分担を確かめます。確認3:多細胞生物の細胞分裂は何につながる?
多くの場合、同じ個体の細胞数が増えるため、個体の成長や傷の修復につながります。多数の細胞が一個体として協力する意味を説明できれば完了です。次は、個体の成長を細胞の数と大きさのデータから考えます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。