細胞壁が植物の体を支えるしくみを考えよう
このレッスンの役割
前のレッスンで、植物細胞には細胞壁・葉緑体・大きな液胞が目立つと整理しました。今回はそのうち細胞壁だけに焦点を当てます。
このレッスンの仕事は、「細胞壁がある」と覚えるだけでなく、外側にある丈夫なつくりが細胞の形を保ち、多数の細胞が集まった植物の体を支える、という因果を説明できるようにすることです。
知る・理解する
細胞壁は、植物細胞の最も外側にある丈夫なつくりです。細胞膜より外側にあり、となり合う細胞どうしの境界をはっきりさせます。顕微鏡で植物細胞が箱を並べたように見えやすいのは、この細胞壁が形を保つためです。
細胞壁と細胞膜は同じものではありません。
| 比較 | 細胞壁 | 細胞膜 |
|---|---|---|
| 位置 | 細胞膜の外側 | 細胞質を包む境界 |
| 特徴 | 比較的丈夫で形を支える | 薄く、細胞の内外を区切る |
| 植物・動物 | 植物細胞に目立つ | 植物細胞と動物細胞に共通 |
植物は骨格をもつ動物とは違います。けれども、一つ一つの細胞が丈夫な細胞壁に囲まれ、それらが積み重なることで、葉や茎の形を支える材料になります。さらに細胞の内部に水が十分にあると、内側から外向きに押す力が生まれ、丈夫な細胞壁がそれを受け止めます。この二つの組合せが植物の張りにつながります。
この図の矢印は、細胞の内側が水を含んで外側へ押すイメージです。細胞壁自身が筋肉のように力を出すのではありません。丈夫な壁が押す力を受け止めるため、形が保たれます。
例題で使う・転用する
例題:同じ大きさの植物細胞と動物細胞を水の多い環境に置いたとします。植物細胞のほうが形を保ちやすい理由を説明しましょう。
答え方の骨組みは「構造→起こること→結果」です。
- 構造:植物細胞の細胞膜の外側には丈夫な細胞壁がある。
- 起こること:細胞の内側から外向きに押す力を、細胞壁が受け止める。
- 結果:細胞が大きく変形しにくく、形を保ちやすい。
完成した説明:植物細胞には細胞膜の外側に丈夫な細胞壁があり、内側からの押す力を受け止めるので、動物細胞より形を保ちやすい。
転用:しおれた葉に水を与えると、しばらくして張りが戻ることがあります。これは「細胞壁が新しくできた」からではありません。細胞が水を含み、内側から細胞壁を押す力が回復したと考えます。液胞との詳しい関係は第4レッスンで扱います。
よくある間違いを直す
誤り1:「細胞壁は細胞膜の別名」
位置も特徴も違います。植物細胞には両方があります。
誤り2:「細胞壁が水を吸って、筋肉のように植物を立たせる」
細胞壁は外側の丈夫な枠です。内側の細胞が水を含んで押す力と組み合わさって張りを保ちます。
誤り3:「細胞壁が見えれば、その内側の線はすべて細胞膜」
普通の顕微鏡像では細胞膜が細胞壁に接していて、二本の線として区別しにくいことがあります。見え方と実際の構造を分けます。
理解チェックと次の一歩
確認1:細胞壁は細胞膜のどちら側にある?
細胞膜の外側です。細胞壁は丈夫な外枠、細胞膜は細胞の内外を区切る薄い境界です。確認2:細胞壁はどのように植物の形を支える?
丈夫な外枠として細胞の形を保ち、細胞内部からの押す力を受け止めます。そのような細胞が多数集まることで植物の体の支えになります。確認3:しおれた葉に水を与えて張りが戻った。細胞壁だけで説明できる?
できません。水を含んだ細胞内部が外向きに押し、細胞壁が受け止めるという組合せで説明します。細胞壁を「位置・丈夫さ・支え」の因果で説明できれば完了です。次は、葉緑体がなぜ葉など光を受ける場所に多いのかを、植物が養分をつくる生活と結びつけます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。