仮足・繊毛・べん毛による動きを見分けよう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、一つの細胞が一個体として生命活動を行うことを学びました。今回はその活動の一つ、移動に焦点を当てます。
このレッスンの仕事は、アメーバ・ゾウリムシ・ミドリムシの動きを、仮足・繊毛・べん毛というつくりと対応させることです。また、水流で流された動きと生物自身の運動を観察から区別します。
知る・理解する
単細胞生物は種類によって違う方法で動きます。
| 生物 | 運動に使うつくり | 動きの特徴 |
|---|---|---|
| アメーバ | 仮足 | 体の一部を伸ばし、形を変えながら進む |
| ゾウリムシ | 繊毛 | 表面の短い毛を多数動かして進む |
| ミドリムシ | べん毛 | 体の前方にある長い毛を動かして進む |
仮足は固定した足ではありません。細胞質の一部を流すように伸ばしてできる一時的な突起です。繊毛は短い毛が多数、べん毛は比較的長い毛が少数、という見分け方が基本です。
自分で動いているかを調べるには、同じ視野を時間を追って見ます。水中のごみや複数の生物が全部同じ方向・同じ速さで流れるなら、水流の可能性があります。生物が向きを変えたり、形を変えたり、障害物を避けたりするなら、自身の運動の証拠になります。
例題で使う・転用する
例題:視野Xでは、周囲のごみも生物もすべて右へ同じ速さで動きました。視野Yでは、生物だけが向きを変え、周囲のごみとは異なる方向へ進みました。どちらが生物自身の運動を強く示しますか。
Xは水流で全体が流された可能性があります。Yでは生物だけが方向を変えているため、自身の運動をより強く示します。
答え:視野Y。生物だけが周囲と異なる方向へ進み、向きを変えたことが根拠です。
転用:形を刻々と変えて突起を伸ばすならアメーバの仮足、多数の細かい毛が波打つならゾウリムシの繊毛、一本ほどの長い毛が見えるならミドリムシのべん毛を候補にします。ただし低倍率で毛が見えない場合は、動きだけで断定しません。
よくある間違いを直す
誤り1:「視野の中で動いたものはすべて自分で泳いだ」
水流やプレパラートの傾きでも動きます。周囲の粒との相対的な動きを見ます。
誤り2:「仮足はいつも同じ場所にある足」
仮足は細胞の一部が一時的に伸びたもので、形と位置が変わります。
誤り3:「繊毛とべん毛は長さだけで必ず区別できる」
数、位置、動かし方も根拠にします。観察条件で見えない可能性も考えます。
理解チェックと次の一歩
確認1:三つの生物と運動器官を対応させると?
アメーバは仮足、ゾウリムシは繊毛、ミドリムシはべん毛です。確認2:水流と自分の運動をどう区別する?
周囲のごみや他の生物との動きを比べます。対象だけが向きや速さを変えることは自身の運動の証拠になります。確認3:短い毛が見えない像だけで、繊毛をもたないと言える?
言えません。倍率、焦点、照明によって細い繊毛が見えない場合があるため、動画での動きや高倍率像も確かめます。つくり・動き・観察根拠を対応させられれば完了です。次は、一つの細胞が栄養を得て、外部と物質を交換するしくみを比べます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。