単細胞と多細胞の生き方を条件から比べよう
このレッスンの役割
ここまで、多細胞生物では細胞数が増え、異なる働きを分担し、物質を受け渡して協力することを学びました。今回は前のセクションの単細胞生物と、同じ観点で比べます。
このレッスンの仕事は、「多細胞のほうが上」「小さいから単細胞」といった決めつけを直し、細胞と個体の関係、分裂の意味、役割分担という三つの条件から判断することです。
知る・理解する
単細胞と多細胞は、異なる生き方です。どちらにも、それぞれの条件で成り立つしくみがあります。
| 観点 | 単細胞生物 | 多細胞生物 |
|---|---|---|
| 一細胞と個体 | 一細胞が一個体 | 一細胞は個体の一部 |
| 仕事の担当 | 一細胞で一通り行う | 多数の細胞で分担する |
| 細胞分裂の意味 | 個体数増加になることが多い | 個体の成長・修復になることが多い |
| 細胞間の依存 | 一細胞内で完結 | 他の細胞との受け渡しへ依存 |
| 見た目 | 一個または集団 | つながった多数の細胞 |
細胞が集まっているだけでは、多細胞生物とは限りません。酵母や細菌が集団をつくっても、一細胞ずつが個体として増えるなら単細胞生物です。反対に、多細胞生物から一細胞を取り出しても、その細胞が単細胞生物へ変わるわけではありません。
例題で使う・転用する
例題:資料Aでは、集まった細胞がそれぞれ同じ形で、分裂後に一細胞ずつ別の場所で増えました。資料Bでは、形の異なる細胞がつながり、一部が運搬、別の一部が運動を担当し、一種類を取り除くと全体の活動が低下しました。AとBを分類しましょう。
Aは集団に見えますが、一細胞ずつが個体として増え、役割分担の証拠がありません。Bは同じ個体内で異なる細胞が分担・依存しています。
答え:Aは単細胞生物の集団、Bは多細胞生物と考えられる。
転用:巨大な一細胞の生物があっても、細胞数の条件では単細胞生物です。小さい多細胞生物もいます。個体の大きさを細胞数の代わりにしません。
よくある間違いを直す
誤り1:「多細胞生物は単細胞生物より必ず優れている」
優劣ではなく、役割分担する生き方と、一細胞で完結する生き方の違いです。
誤り2:「細胞が固まっていれば多細胞生物」
同じ個体として役割分担し、互いに依存している証拠が必要です。
誤り3:「大きい生物は多細胞、小さい生物は単細胞」
大きさだけでは判断しません。一個体をつくる細胞数を見ます。
理解チェックと次の一歩
確認1:判断に使う三観点は?
一細胞と個体の関係、仕事の役割分担、細胞分裂が個体数増加か個体成長か、です。確認2:集団で見える酵母を多細胞生物と断定できないのはなぜ?
一細胞ずつが個体として生活・増殖している可能性があり、役割分担と相互依存の証拠がないからです。確認3:多細胞生物の一部を一細胞に分けたら単細胞生物になる?
なりません。その細胞はもとの個体で役割分担していた一部で、一細胞だけで一個体の生活を完結しないからです。大きさや見た目に頼らず、三条件で生き方を区別できれば完了です。次は初見の複数資料から、多細胞生物の成長・役割分担・協力を統合して説明します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。