細胞を役割分担する小さなシステムとして見よう
このレッスンの役割
前のセクションでは、植物細胞に目立つ細胞壁・葉緑体・大きな液胞を、植物の生活と結びつけました。ここでは植物と動物の共通構造も戻し、細胞全体を見渡します。
このレッスンの仕事は、各部分をばらばらな用語として暗記するのではなく、「境界をつくる」「活動の場になる」「全体を調整する」「植物の生活を支える」という役割分担の地図をつくることです。
知る・理解する
細胞は小さな袋ではありません。外部と区切りながら物質を取り入れ、内部で生命活動を行い、活動を調整しています。どれか一部分だけで生きられるのではなく、複数の部分が協力して一つの細胞として働きます。
| 部分 | 中心となる役割 | 覚え方ではなく問いにするなら |
|---|---|---|
| 細胞膜 | 細胞の内外を区切り、物質の出入りに関わる | 何を内側に保ち、何を出し入れするか |
| 細胞質 | さまざまな生命活動が行われる場 | 内部で何が変化しているか |
| 核 | 細胞の活動の調整や、受け継がれる情報に関わる | 活動をそろえる情報はどこにあるか |
| 細胞壁 | 植物細胞の形を支える | 内側からの力を何が受け止めるか |
| 葉緑体 | 光合成を行う | 光を利用してどこで養分をつくるか |
| 液胞 | 水や物質を含み、張りに関わる | 水をどこに保ち、形へどうつなげるか |
役割分担は工場の部品のように完全に独立しているわけではありません。細胞膜を通って入った物質が細胞質で使われ、核にある情報に基づいて活動が進む、というように関係しています。
例題で使う・転用する
例題:「葉緑体が養分をつくるので、葉緑体だけあれば植物細胞は生きられる」という文を直しましょう。
葉緑体は光合成に必要ですが、細胞の内外を区切る細胞膜、活動の場となる細胞質、活動の調整に関わる核なども必要です。
修正文:葉緑体は光合成で養分をつくる役割をもつが、その養分を利用して生命活動を続けるには、細胞膜・細胞質・核など他の部分との協働が必要である。
転用:動物細胞には葉緑体がありませんが、食物から養分を得て、細胞膜・細胞質・核が協力して生命活動を行います。構造の違いは、養分を得る方法の違いとも関係します。
よくある間違いを直す
誤り1:「部分の名前と一語の働きを結べば理解できた」
入試では条件が変わります。「その働きが失われたら何が起こるか」まで考えると理解が深まります。
誤り2:「核が細胞のすべての仕事を直接行う」
核は活動の調整に関わりますが、実際のさまざまな生命活動は細胞質などで進みます。
誤り3:「植物に目立つ構造が、共通構造の代わりになる」
植物細胞にも細胞膜・細胞質・核があります。そこへ細胞壁・葉緑体・大きな液胞が加わります。
理解チェックと次の一歩
確認1:細胞の役割分担を四つに分けると?
境界と出入り、活動の場、活動の調整、植物の生活を支える役割です。それぞれ細胞膜、細胞質、核、植物に目立つ三構造へ対応します。確認2:葉緑体だけで植物細胞が生きられないのはなぜ?
光合成以外にも、内外を区切ること、物質を使うこと、活動を調整することなどが必要で、他の部分との協働が欠かせないからです。確認3:未知の構造の役割を考えるときの問いは?
どこにあるか、何が出入りするか、その構造が働かないと何が変わるか、他のどの部分と協力するかを考えます。細胞を部分の一覧ではなく、協働するシステムとして見られれば完了です。次は、共通構造である細胞膜と細胞質が、生命活動の境界と場をどうつくるかを詳しく考えます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。