LESSON 01

振動はどうやって耳へ届く?

膜と軽い球で振動が次へ伝わる実験をしよう

二つの膜と軽い球を使い、直接触れていない物体へ空気を介して振動が届く証拠を集めます。

膜と軽い球で振動が次へ伝わる実験をしよう

このレッスンの役割

前のレッスンで立てた「音源と耳の間の空気は何をしているのか」という問いを、目で見える実験へ変えます。一方の膜を振動させたとき、直接触れていないもう一方の膜や軽い球に変化が起きるかを調べ、振動が空気を介して届く証拠を集めます。

知る・理解する

実験には、薄い膜を張った同じ容器を二つと、糸でつるした軽い発泡スチロール球を使います。二つの膜を向かい合わせ、受け手側の球が膜へ軽く触れるようにします。送る側の膜を指ではじくと、その膜は振動して周囲の空気を押したり引いたりします。受け手側の球が動けば、離れた場所まで変化が届いたと考えられます。

ただし、球が動いただけでは原因を決められません。机の揺れ、息、手の接触でも動くからです。そこで条件をそろえます。

  1. 容器同士や机を直接触れさせない。
  2. 送る側をはじく前に、球が静止していることを確認する。
  3. 距離だけ、向きだけなど、一度に一つの条件だけ変える。
  4. 各条件を複数回試し、同じ傾向が出るか確かめる。
二つの膜と軽い球で振動の伝わりを調べる実験 左の送る膜をはじくと空気を介して右の受ける膜が振動し、軽い球が動く配置。容器同士は接触していない 送る膜をはじく 受ける膜と軽い球 接触なし・間には空気 机の振動が伝わらないよう、別の台や手持ちで比べる

安全のため、大音量を耳の近くで出さず、膜を強くたたきすぎません。実験は「強い音を出す競争」ではなく、小さな変化を条件をそろえて読む活動です。

具体例で使う

距離10 cmでは球が毎回動き、30 cmではわずかに動き、膜の向きを90度変えると動きが見えにくくなったとします。この結果から、「送る膜の振動による変化は空気を通して受ける膜へ届いた。距離や向きによって届き方が変わった」と説明できます。

ここで「遠いほど必ず聞こえない」とまでは言えません。今回の装置と条件で球の動きが小さくなった、という観察事実と、そこから考えた説明を分けます。観察していないことまで結論に広げないのが科学的な書き方です。

誤答を直して次の学びへつなげる

二つの容器を同じ机へ置くと、机の振動が受け手へ届いた可能性があります。また、距離を離すと同時に強くはじけば、どちらが結果を変えたのか分かりません。比べたい条件以外をそろえる必要があります。

この実験から分かるのは、間の空気を介して振動による変化が届いたことです。では、空気の中ではどのように「次へ次へ」と伝わるのでしょうか。次は、見えない空気を粒の集まりとして表すモデルをつくります。

自分で確かめよう

確認1:二つの容器を直接触れさせないのはなぜですか。容器や机を通る振動ではなく、間の空気を介して届いた変化を調べるためです。
確認2:距離の影響を調べるとき、はじく強さも変えてよいですか。変えてはいけません。距離以外の条件をそろえなければ、結果の違いが何によるものか判断できません。
確認3:球が動かなかったとき、「音は空気を伝わらない」と結論づけてよいですか。いけません。変化が球を動かすほど大きくなかった、装置の感度が低かったなどの可能性も調べます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。