超音波やソナーで見えない距離を測ろう
このレッスンの役割
このセクションの第6レッスンです。これまでに、直接音と反射音を区別し、往復経路をモデル化して、時間差から反射面までの距離を求めました。今回は、同じ考えを超音波距離計、船のソナー、コウモリの反響定位へ使います。
今回完成させる力は、送信→反射→受信の経路を見つけ、媒質に合う音速と往復時間から未知の距離を求めることです。最後に、距離と時間の複数データを表で整理し、次の「距離・時間のグラフと音」へつなげます。
知る・理解する
人に聞こえない高い振動数の音を超音波といいます。聞こえなくても、物体で反射し、送信から受信までの時間を測れます。装置は時間を直接距離として測るのではなく、使う媒質での音速と往復時間から距離を計算します。
共通する判断は四つです。
| 判断 | 空気中の距離計 | 水中のソナー |
|---|---|---|
| 媒質 | 空気 | 水 |
| 使う音速 | 問題で指定された空気中の値 | 問題で指定された水中の値 |
| 測る時間 | 送信から受信まで | 送信から受信まで |
| 経路 | 装置→対象→装置 | 船→海底→船 |
水中で空気中の340 m/sを使ってはいけません。音速は媒質によって異なり、中学校の問題では必要な値が与えられます。数字の見慣れ方ではなく、音が何の中を進んだかで選びます。
具体例で使う
例1は空気中の超音波距離計です。音速340 m/s、送信から受信まで12 msでした。
12 ms=0.012 sです。- 往復距離は
340×0.012=4.08 mです。 - 対象までの距離は
4.08÷2=2.04 mです。
例2は船のソナーです。水中の音速を1500 m/s、海底から反射して戻るまで0.080 sとします。往復距離は1500×0.080=120 m、海の深さは120÷2=60 mです。空気中の音速を使うと誤った深さになります。
例3はコウモリです。簡単なモデルとして、発した超音波が獲物で反射して6.0 ms後に戻り、空気中の音速を340 m/sとします。6.0 ms=0.0060 s、往復距離は2.04 m、獲物までの距離は1.02 mです。実際のコウモリは時間差だけでなく、反射音の方向や変化も手がかりにします。
装置で次の値が得られました。
| 往復時間 | 対象までの距離(音速340 m/s) |
|---|---|
| 4.0 ms | 0.68 m |
| 8.0 ms | 1.36 m |
| 12.0 ms | 2.04 m |
往復時間が2倍になると距離も2倍です。次のセクションでは、このような距離と時間の対応をグラフにし、傾きや到着時刻を読み取ります。
誤答を直して次の学びへつなげる
ソナーの0.080 sを海底までの片道時間とする誤りは、装置が受信するまでに音が海底へ行き、船へ戻っていることを見落としています。経路図を描き、往復距離を2で割ります。
超音波は人に聞こえないから反射しない、という説明も誤りです。聞こえるかどうかは人の耳の範囲の問題であり、音が物体で反射する性質とは別です。
また、空気中、水中、固体中で同じ音速を使えるとは限りません。問題文から媒質と指定された音速を対応させます。これで、反射を利用する未知の装置でも、送信・反射・受信の三段階を見つければ考えられます。
次のセクションでは、音が進む距離と時間を表やグラフで表します。ここで作った「時間が増えると距離も一定の割合で増える」という見方が土台です。
自分で確かめよう
確認1:空気中の超音波が10 msで戻りました。音速340 m/sなら対象まで何mですか?
`10 ms=0.010 s`、往復距離は`340×0.010=3.4 m`、片道距離は`3.4÷2=1.7 m`です。確認2:水中のソナーで空気中の音速を使ってはいけないのはなぜですか?
音速は媒質によって異なるためです。音が水中を進むなら、問題で指定された水中の音速を使います。確認3:送信から受信までの時間が2倍になり、音速が同じなら対象までの距離はどうなりますか?
往復距離も片道距離も2倍になります。距離は音速×時間÷2で求めるためです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。