壁から返る音の時間を測る実験を計画しよう
このレッスンの役割
このセクションの第2レッスンです。前のレッスンでは、直接音と反射音を経路の違いで区別しました。今回は、反射音が戻るまでの時間を測り、壁までの距離を考えられるデータを作ります。
今回完成させる力は、短い音、硬く広い反射面、音源と観察者の配置、測る時間差を決め、複数回の測定値を扱えることです。次のレッスンでは、得た時間が往復経路全体に対応することをモデルで説明します。
知る・理解する
反射音の実験では、音の始まりと終わりが分かりやすい短い音を一回だけ出します。長く声を出すと、出している途中の音と戻った音が重なり、時間差を決めにくくなります。手拍子、二枚の板、風船を割る音などの短い音が候補ですが、安全と周囲への配慮が必要です。
測定計画は次のように整理します。
| 決めること | 基本の計画 | 理由 |
|---|---|---|
| 反射面 | 硬く広い壁を選ぶ | 反射音を捉えやすい |
| 音 | 短い音を一回出す | 直接音と反射音を分けやすい |
| 配置 | 音源と録音機を近くに置く | 行きと帰りをほぼ同じ距離として扱える |
| 測る量 | 直接音から反射音までの時間差 | 往復にかかった時間になる |
| 回数 | 同じ条件で複数回 | 偶然のずれや外れ値を確認できる |
建物や道路の近くで実験するときは、立入禁止区域へ入らず、交通や周囲の人へ影響しない場所を選びます。大きな音を繰り返さず、必要なら教員の管理下で録音データを使います。
具体例で使う
壁から約68 m離れた位置に音源と録音機を置き、短い音を出しました。波形から直接音と反射音の時間差を5回読みました。
| 回 | 時間差 |
|---|---|
| 1 | 0.39 s |
| 2 | 0.41 s |
| 3 | 0.40 s |
| 4 | 0.42 s |
| 5 | 0.38 s |
合計は2.00 sなので、平均は0.40 sです。値が少し散らばるのは、波形のどこを音の到着と読むか、周囲の反射音が重なっていないかなどの影響があるためです。
この0.40 sは、壁までの片道時間ではありません。音が音源から壁へ進み、壁から録音機へ戻るまでの時間です。今は計算を急がず、「時間差は二つの経路の合計に対応する」と記録します。
別の壁で反射音がはっきり分かれなかった場合、すぐに音が反射しないと結論しません。壁が近すぎて直接音と重なった、柔らかい材料が音を吸収した、周囲の雑音が大きかったなど、測定条件を確認します。
誤答を直して次の学びへつなげる
三秒間声を出し続け、声を止めてから音が消えるまでを測る方法では、一回の反射経路を特定しにくくなります。複数の反射が重なった残響時間を測っている可能性があります。短い音を使い、波形の二つの山の時間差を読みます。
壁まで68 mと分かっているから測定値を0.20 sへ直す、という扱いも不適切です。観察値は先に記録し、そのあとモデルや計算と比較します。予想と違う値を都合よく書き換えてはいけません。
次のレッスンでは、0.40 sの間に音が進んだ全距離を「壁まで68 mの行き」と「壁から68 mの帰り」に分け、なぜ往復距離が片道の2倍になるかを説明します。
自分で確かめよう
確認1:反射音の実験で短い音を使うのはなぜですか?
直接音と反射音を時間的に分けやすくし、波形の二つの到着時刻を読みやすくするためです。確認2:音源と録音機を近くに置く基本配置にはどんな利点がありますか?
音源から壁までと、壁から録音機までの距離をほぼ同じとみなし、往復距離を片道距離の2倍として扱いやすくなります。確認3:時間差が0.39、0.41、0.40秒でした。どのように扱いますか?
測定条件を確認し、同じ条件で複数回測った値として平均や範囲を見ます。一つだけを絶対に正しい値と決めません。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。