種類が多ければ必ずよい・珍しい種だけ守ればよいという誤解を直そう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、同じ種数でも個体数の偏りが異なることをデータで確かめました。ここでは、多様性についての三つの誤解を直します。「種数が増えれば必ずよい」「珍しい種だけ守ればよい」「一個体残せば遺伝子の多様性も守れる」です。
目標は、在来種と外来種、普通種と希少種、個体数と同種内の違いを区別し、三つの多様性をまとめて考えられることです。
知る・理解する
ある池に外来魚が1種入ると、記録上の種数は一時的に増えます。しかし外来魚が在来魚や水生昆虫を食べ、3種がいなくなれば、最終的な在来種の多様性と食物網は失われます。種数の一時的増加だけを「よい変化」とは判断できません。
珍しい種は失われる危険が高く、保全が重要です。同時に、数の多い植物、昆虫、分解者が生産、受粉、分解などを支えています。普通種が大きく減れば、生態系の働きも弱まる可能性があります。
遺伝子の多様性も、個体数と同じではありません。偶然よく似た性質をもつ少数個体だけが残れば、頭数を増やしても、失われた違いは自動では戻りません。
具体例で使う
絶滅が心配な植物を一株だけ保護し、挿し木で100株に増やしたとします。個体数は増えますが、すべてがほぼ同じ遺伝的性質なら、一つの病気で同時に被害を受ける危険があります。
複数の場所から、同じ種の異なる個体を保全し、元の生息環境も残すことで、個体数、遺伝子、生態系の三尺度を同時に支えられます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「外来種を含めて種数が増えたから多様性向上」では、その後の在来種への影響を見ていません。「珍しい種だけ囲って守る」では、その種が必要とする餌、受粉者、分解者、すみかを見落とします。「100個体いるから遺伝的にも多様」では、個体の由来と違いを確認していません。
よりよい評価では、いつ、どこから来た種か、個体数の偏り、食物網、生息環境、同種内の違いを調べます。次は、未知の島の資料を三尺度へ分類し、開発前後の保全調査を設計します。
自分で確かめよう
確認1:外来種が一種入っても、多様性が高まったと即断できないのはなぜ?
外来種が在来種を減らし、食物網や生息環境を変え、最終的に多様性を失わせる場合があるからです。確認2:普通種を守る意味は?
数の多い生産者、受粉者、分解者などが、生態系の働きや他の種の生活を支えているからです。確認3:一株から100株へ増やしても遺伝子の多様性が増えにくいのはなぜ?
すべてが同じ一株に由来し、遺伝的な性質がほぼ同じだからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。