LESSON 01

地球温暖化と生態系

気温偏差と開花・昆虫・分布の長期データを計算して読もう

「地球温暖化と生態系」第4段階。気温偏差と開花・昆虫・分布の長期資料を計算して読みます。

気温偏差と開花・昆虫・分布の長期データを計算して読もう

このレッスンの役割

前のレッスンでは、温暖化が生物の分布と季節へ届く因果を学びました。ここでは、40年間の気温偏差、開花日、昆虫の出現日、分布下限の資料を計算し、その因果モデルと傾向が合うか確かめます。

目標は、偏差と実際の気温を混同せず、年代差と生物間の時期のずれを求め、資料が示す範囲で考察できることです。

知る・理解する

ある山地で、同じ方法を使って10年ごとの平均をまとめた架空の資料です。気温偏差の基準期間平均は12.0℃、日は1月1日から数えた通算日、分布下限は標高です。

年代 気温偏差 植物の開花日 昆虫の出現日 生物Aの分布下限
1980年代 −0.1℃ 105日目 110日目 900 m
1990年代 +0.2℃ 100日目 107日目 950 m
2000年代 +0.7℃ 94日目 102日目 1,050 m
2010年代 +1.1℃ 89日目 100日目 1,170 m

開花日は105日目から89日目へ16日早まりました。昆虫は110日目から100日目へ10日早まりました。その結果、出現日から開花日を引いたずれは、5日から11日へ6日広がっています。

気温偏差の上昇と開花・昆虫出現・分布下限の変化 1980年代から2010年代に気温偏差と分布下限が上がり、開花日と昆虫出現日は早まるが開花の方が大きく早まってずれが広がる図 1980年代1990年代2000年代2010年代 気温偏差 ↑ 分布下限 ↑ 開花と昆虫の時期のずれ 5日 → 11日 複数の変化を同じ年代で対応させる

2010年代の平均気温は、基準12.0℃+偏差1.1℃=13.1℃です。偏差1.1℃を実際の気温と取り違えないようにします。

具体例で使う

分布下限は900 mから1,170 mへ270 m上がりました。40年ではなく、1980年代平均から2010年代平均までの年代差として読みます。

考察例は「気温偏差の上昇とともに、開花・昆虫出現が早まり、生物Aの分布下限も高くなった。開花の早まりが昆虫より6日大きいため、両者の時期のずれが広がった」です。

誤答を直して次の学びへつなげる

数値が小さくなった開花日は、開花が遅れたのではなく、年の早い日へ移ったことを表します。分布下限が上がることは、個体数が必ず増えた意味でもありません。低い場所から見られなくなった可能性があります。

傾向が合うことは温暖化の影響という仮説を支持しますが、土地利用など別要因も調べます。次は、寒い日、オゾン層、一つの災害だけで温暖化を判断する誤解を直します。

自分で確かめよう

確認1:2010年代の平均気温は?基準平均12.0℃+気温偏差1.1℃=13.1℃です。
確認2:開花と昆虫出現の時期のずれは何日広がった?1980年代は5日、2010年代は11日なので、6日広がりました。
確認3:分布下限が270 m上がったことから直接いえるのは?生物Aが見られる最も低い標高が900 mから1,170 mへ移ったことで、個体数増加までは直接いえません。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。