気温偏差と開花・昆虫・分布の長期データを計算して読もう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、温暖化が生物の分布と季節へ届く因果を学びました。ここでは、40年間の気温偏差、開花日、昆虫の出現日、分布下限の資料を計算し、その因果モデルと傾向が合うか確かめます。
目標は、偏差と実際の気温を混同せず、年代差と生物間の時期のずれを求め、資料が示す範囲で考察できることです。
知る・理解する
ある山地で、同じ方法を使って10年ごとの平均をまとめた架空の資料です。気温偏差の基準期間平均は12.0℃、日は1月1日から数えた通算日、分布下限は標高です。
| 年代 | 気温偏差 | 植物の開花日 | 昆虫の出現日 | 生物Aの分布下限 |
|---|---|---|---|---|
| 1980年代 | −0.1℃ | 105日目 | 110日目 | 900 m |
| 1990年代 | +0.2℃ | 100日目 | 107日目 | 950 m |
| 2000年代 | +0.7℃ | 94日目 | 102日目 | 1,050 m |
| 2010年代 | +1.1℃ | 89日目 | 100日目 | 1,170 m |
開花日は105日目から89日目へ16日早まりました。昆虫は110日目から100日目へ10日早まりました。その結果、出現日から開花日を引いたずれは、5日から11日へ6日広がっています。
2010年代の平均気温は、基準12.0℃+偏差1.1℃=13.1℃です。偏差1.1℃を実際の気温と取り違えないようにします。
具体例で使う
分布下限は900 mから1,170 mへ270 m上がりました。40年ではなく、1980年代平均から2010年代平均までの年代差として読みます。
考察例は「気温偏差の上昇とともに、開花・昆虫出現が早まり、生物Aの分布下限も高くなった。開花の早まりが昆虫より6日大きいため、両者の時期のずれが広がった」です。
誤答を直して次の学びへつなげる
数値が小さくなった開花日は、開花が遅れたのではなく、年の早い日へ移ったことを表します。分布下限が上がることは、個体数が必ず増えた意味でもありません。低い場所から見られなくなった可能性があります。
傾向が合うことは温暖化の影響という仮説を支持しますが、土地利用など別要因も調べます。次は、寒い日、オゾン層、一つの災害だけで温暖化を判断する誤解を直します。
自分で確かめよう
確認1:2010年代の平均気温は?
基準平均12.0℃+気温偏差1.1℃=13.1℃です。確認2:開花と昆虫出現の時期のずれは何日広がった?
1980年代は5日、2010年代は11日なので、6日広がりました。確認3:分布下限が270 m上がったことから直接いえるのは?
生物Aが見られる最も低い標高が900 mから1,170 mへ移ったことで、個体数増加までは直接いえません。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。