未知の噴出物標本を証拠から判定しよう
このレッスンの役割
ここは「火山噴出物を見分けよう」6レッスン中の最終レッスンです。状態と粒径、安全な観察、噴出物のでき方、分布図、誤分類修正を一つにまとめます。
今回完成させる力は、未知標本の状態・粒径・形・穴・分布・採取地点から必要な証拠を選び、分類とでき方を、不確実性も含めて説明することです。次の「マグマが冷えてできる火成岩」では、冷え方と結晶の大きさを使って岩石を考えます。
まず知る
初見問題では、情報を次の三列に分けます。
| 列 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 観察事実 | 資料から直接読める | 直径1.2 mm、角ばる |
| 分類 | 基準と比較した結果 | 2 mm未満なので火山灰 |
| でき方の考察 | 特徴から推定する | 急に砕けて冷えた可能性 |
分類とでき方は同じではありません。直径30 mmなら火山れきと分類できますが、どのマグマから、どのような噴火でできたかは、穴・色・成分・分布など追加証拠が必要です。
初見問題の手順です。
- 気体・液体・固体を分ける
- 固体なら実寸の粒径を測る
- 2 mm・64 mmと比べる
- 形・穴・表面を記録する
- 採取地点と分布を読む
- でき方を因果で説明する
- 不足情報を示す
理解する
次の図は、未知標本カードを読み、証拠の強さに合わせて判定する流れです。
図の標本は、18〜35 mmなので火山れきと分類できます。穴が多いことから、気泡を含んだマグマが固まった可能性があります。しかし、黒いから特定の名称と断定するには、密度や成分などが足りません。
証拠には強さがあります。
- 粒径の実測値:粒径分類を直接支える
- 形・穴:でき方を支える
- 色:補助証拠
- 採取距離:運ばれ方の傾向を支える
- 一枚の写真:尺度と撮影条件が必要
「分類できること」と「推定できること」を分けると、言いすぎを防げます。
使う
四つの資料を判定します。
試料A
- 密閉標本中の固体粒子
- 0.1〜1.7 mm
- 角ばった透明・灰色・黒色の粒が混在
- 火口の東15 kmで層を作る
- 噴火時は西風
判定:
「試料Aはすべて2 mm未満なので火山灰である。角ばった粒はマグマや岩石が細かく砕けた可能性を示す。西風のとき火口の東15 kmに積もったことから、細かな粒子が東へ運ばれたと考えられる。」
試料B
- 直径92 mm
- 角ばる
- 内部に噴火前からあった岩石の模様
- 表面に飛行中の変形を示す筋はない
判定:
「64 mm以上で、固い岩石が砕かれた特徴をもつため、火山岩塊の可能性が高い。大きさだけで火山弾とはしない。」
試料C
- 最大径110 mm
- 丸みのある紡錘形
- 表面にねじれた筋
- 内部に気泡の跡
判定:
「64 mm以上で、軟らかい状態で飛び出し、飛行中に変形して固まった特徴があるため、火山弾の可能性が高い。」
試料D
- 写真だけ
- 白く穴が多い
- 尺度なし
- 採取地点不明
判定:
「白く穴が多いという観察はできるが、尺度がないため火山灰・火山れきなどの粒径分類はできない。実寸、密度、成分、採取地点が必要である。」
Dで「分からない」と止まらず、分かることと必要な追加情報を示します。
転用する
入試形式の資料を考えます。
ある噴火後、地点P、Q、Rで採取した粒子の割合は次の通りでした。
| 地点 | 火口からの位置 | 2 mm未満 | 2〜64 mm | 64 mm以上 |
|---|---|---|---|---|
| P | 東2 km | 35% | 60% | 5% |
| Q | 東10 km | 88% | 12% | 0% |
| R | 西10 km | 20% | 0% | 0% |
Rは合計が20%しかありません。これは割合の表として欠けているか、「一定面積で採取できた量」を別の意味で表している可能性があります。表題や単位を確認せず計算を続けてはいけません。
もし数値が「採取した全粒子中の割合」なら合計は100%になるはずです。もし「Pの総量を100とした相対量」なら、合計が100%でなくても不自然ではありません。
資料の意味を確認した結果、各数値がPの総量を100とする相対量だったとします。東10 kmのQには細かな粒子が多く、西10 kmのRは総量が少ないので、西から東へ吹く風で火山灰が運ばれた可能性が高まります。
このように、分類知識だけでなく、表の見出し・単位・合計を確かめます。
総合判定の型
「試料は[状態]で、粒径は[数値と単位]なので[分類]である。[形・穴・表面]から[でき方]の可能性がある。[採取地点・分布]は[運ばれ方]を支える。ただし[不足情報]がないため、[断定できない点]が残る。」
次のセクションへの橋
噴出物を分類した後、「冷えて固まった岩石の中で、結晶の大きさが違うのはなぜか」という問いが残ります。次は、地表近くで急に冷えた場合と、地下深くでゆっくり冷えた場合を比べ、火成岩の組織を考えます。
確認1:18〜35 mmで穴の多い固体試料から確定できることは?
2 mm以上64 mm未満なので火山れきと分類できます。穴から気泡を含むマグマが固まった可能性を推定できます。確認2:尺度のない写真で分類名を確定できない理由は?
実寸の粒径を2 mm・64 mmの境界と比較できないためです。形や色の観察はできますが、粒径分類には尺度が必要です。確認3:分布表の数値合計が100にならないとき最初にすることは?
表題、単位、数値が割合か相対量かを確認します。資料の意味を決めずに分類や計算を進めません。まとめ
未知標本は、状態→粒径→形・穴→でき方→分布の順で判定します。実測値で確定できる分類と、特徴から可能性として述べるでき方を分け、不足情報を明示します。これで火山噴出物の中心技能は完成です。次は、マグマの冷え方と結晶の大きさから火成岩を理解します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。