LESSON 01

プレート運動と地震・火山

沈み込みと火山帯を結びつけよう

沈み込み・水などの放出・マントルの部分融解・マグマ上昇をつなぎ、火山列が海溝より陸側に並ぶ理由を説明する。

沈み込みと火山帯を結びつけよう

このレッスンの役割

ここは「プレート運動と地震・火山」セクションの4 / 6です。前のレッスンでは、沈み込みが続く中で固着部分にひずみがたまり、限界で急にずれて地震が起こる仕組みを学びました。今回は同じ沈み込みが、なぜ海溝から少し陸側に並ぶ火山と関係するのかを考えます。

今回完成させる力は、断面図の「海溝・沈み込むプレート・水を含む物質・マントル・マグマ・火山」の位置関係を読み、火山が海溝の真上ではなく陸側に帯状に並ぶ理由を説明することです。

おすすめの学び方は、「沈み込むプレートがそのまま全部とける」と暗記しないことです。どの場所で、何が、とけやすくなり、できたマグマがどちらへ動くかを矢印でたどってください。

今日の問い

海側プレートは海溝から沈み込み始めます。それなら火山も海溝の真上に並びそうです。実際には、多くの火山が海溝から少し陸側へ離れた列をつくります。なぜ位置がずれるのでしょうか。

知る

火山の並びを考えるために、次の言葉を整理します。

言葉 意味
海溝・トラフ 海側プレートが沈み込み始める付近の細長い海底地形
マントル 地殻の下にある岩石からなる部分
マグマ 地下の岩石がとけて生じた高温の物質
火山フロント 火山分布の海溝側の端を結んだ線
火山帯・火山列 火山が列や帯のように並ぶ地域

岩石は地下にあるだけで自動的にすべて液体になるわけではありません。沈み込む海側プレートに含まれていた水などが、深くなるにつれて周囲へ放出されます。その影響で、上側にある高温のマントルの岩石がとけやすくなり、一部がとけてマグマができます。

中学校では、次の中心因果をつかみます。

沈み込み → 水などの放出 → 上側のマントルがとけやすくなる → マグマができる → 上昇する → 火山活動

理解する

断面図で位置を確かめます。

プレートの沈み込みと火山列の位置 海側プレートが海溝から陸側プレートの下へ沈み込み、深部で放出された水の影響で上側のマントルがとけやすくなり、マグマが上昇して海溝より陸側に火山をつくる模式図 海溝 海側プレートの沈み込み 水などが放出 一部がとけてできるマグマ 火山列 火山フロント 海溝から陸側へ離れている

図の読み方は五段階です。

  1. 海側プレートは海溝から斜め下へ沈み込む。
  2. 深く沈み込んだプレートから、水を含む物質に由来する水などが放出される。
  3. その上側の高温のマントルが、とけやすい条件になる。
  4. マントルの一部がとけ、周囲より軽いマグマが上昇する。
  5. マグマが地表近くまで達すると、噴火や火山形成につながる。

海溝の真下でただちにマグマができるのではありません。沈み込むプレートがある程度深くなり、水などを放出する条件になるまで距離が必要です。そのため、火山列は海溝そのものではなく、少し陸側に並びます。

なお、「水が岩石を冷やしてとける」という意味ではありません。水などが岩石のとけ始める条件を変え、高温のマントルが部分的にとけやすくなるということです。

使う

資料に、東側の海溝と、その西側の陸地に南北へ並ぶ火山が示されているとします。断面図では海側プレートが東から西へ沈み込んでいます。

説明例: 「海側プレートは東側の海溝から陸側プレートの下へ沈み込む。深く沈み込んだプレートから放出された水などの影響で、その上のマントルがとけやすくなり、マグマができて上昇する。そのため、火山は海溝の真上ではなく、海溝より西側の陸地に列をつくる。」

この説明には、位置、原因、物質の変化、移動、結果がすべて入っています。

必要な要素 説明で使う言葉
位置 海溝より陸側
原因 沈み込みに伴う水などの放出
変化 マントルの一部がとけてマグマになる
移動 マグマが上昇する
結果 火山が列をつくる

転用する

初見の地図で海溝と火山列の位置だけが示された場合、火山列がある側が陸側で、海側プレートは海溝からその陸側の下へ沈み込むと推定できます。ただし、地図だけで沈み込み角度や正確な深さまで断定してはいけません。断面図や震源深度の資料を組み合わせます。

逆に、断面図だけでマグマの上昇位置が示された場合は、その地表側に火山列が予想されます。海溝直上ではなく、沈み込むプレートが深くなった場所の上側に注目します。

世界には、プレートが離れる境界や、プレート境界から離れたホットスポットに関係する火山もあります。このレッスンのモデルは、日本のような沈み込み帯の多くの火山を説明するものです。すべての火山へ同じ説明を無条件に当てはめないことが、モデルを正しく使う態度です。

よくある間違い

思い込み どこが違うか 直し方
沈み込むプレート全体がそのままとける 主に上側のマントルが部分的にとける過程を落としている 水などの放出とマントルを図に加える
火山は海溝の真上にできる マグマ生成までの深さ・距離を無視 海溝と火山列の横方向のずれを見る
地下はすべて液体のマグマである マントルの多くは固体の岩石 「一部がとける」と表現する
火山がある場所には必ずプレート境界線が通る 火山列と境界を同じ線にした 境界は海溝側、火山列は陸側と分ける
この仕組みですべての火山を説明できる モデルの適用範囲を広げすぎた 沈み込み帯の火山に使うと条件を書く

自分で確かめよう

確認1:沈み込みから火山までを因果で説明しよう 海側プレートが沈み込み、水などが放出され、その影響で上側のマントルがとけやすくなって一部がマグマになる。マグマが上昇し、火山活動につながると説明します。
確認2:「沈み込むプレートが全部とけてマグマになる」は正しい? 正しくありません。水などの影響で、主に上側の高温のマントルがとけやすくなり、その一部がマグマになります。
確認3:海溝だけが示された初見地図で火山列の位置をどう予想する? 海側プレートが沈み込む陸側を判断し、海溝の真上ではなく、ある程度陸側へ離れた帯を予想します。正確な位置には断面資料も必要です。

まとめと次の一歩

沈み込み帯では、海側プレートに関係する水などの放出によって上側のマントルがとけやすくなり、できたマグマが上昇します。そのため火山列は海溝の真上ではなく、少し陸側に並びます。次は、ここまでの地図・断面図を読むときに起こりやすい「国境・矢印・深さ・火山位置」の思い込みを見つけ、証拠から直します。

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