LESSON 01

地震波の速さを計算しよう

発生時刻から伝わった時間を求めよう

地震発生時刻を共通の始点にし、P波・S波それぞれが伝わった時間を正確に求める。

発生時刻から伝わった時間を求めよう

このレッスンの役割

ここは「火山・地震・岩石」コースの「地震波の速さを計算しよう」セクション(11 / 15)、全6レッスン中の2番目です。

前から受け取る力:速さを一秒あたりの距離として理解し、距離・時間・速さを区別する力
今回完成させる力:地震発生時刻と到着時刻の差から、P波・S波それぞれの伝わった時間を求める力
次へ渡す力:震源距離を伝わった時間で割り、P波の平均の速さを求める力

速さの計算で最も多い誤りは、割り算そのものより「どの時間を使うか」の取り違えです。今日は速さをまだ求めず、正しい時間を作ることに集中します。

まず三つの時刻を時間線に置こう

地震発生時刻:10時20分00秒
P波到着時刻:10時20分12秒
S波到着時刻:10時20分20秒

P波が伝わった時間は、発生からP波到着までです。

12秒−0秒=12秒

S波が伝わった時間は、発生からS波到着までです。

20秒−0秒=20秒

初期微動継続時間は、P波到着からS波到着までなので、

20秒−12秒=8秒

です。12秒、20秒、8秒はそれぞれ別の区間を表します。

知る:どこからどこまでを測るか

伝わった時間は、

波が伝わった時間 = 到着時刻 − 地震発生時刻

で求めます。

P波とS波は、同じ地震発生時刻を始点として、それぞれの到着時刻まで測ります。

  • P波:P波到着時刻−地震発生時刻
  • S波:S波到着時刻−地震発生時刻

S波到着時刻−P波到着時刻は初期微動継続時間です。S波が震源から伝わった時間ではありません。

地震発生からP波・S波到着までの三つの時間区間 10時20分00秒に地震が発生し、12秒にP波、20秒にS波が到着する。P波の伝わった時間12秒、S波の伝わった時間20秒、初期微動継続時間8秒を区別する。 同じ始点から、それぞれの到着まで測る 地震発生10:20:00 P波到着10:20:12 S波到着10:20:20 P波の伝わった時間 12秒 S波の伝わった時間 20秒 初期微動継続時間 8秒

理解する:到着時刻は時計、伝わった時間は長さ

10時20分12秒という到着時刻は、時計上の位置です。12秒という伝わった時間は、発生から到着までの区間の長さです。

同じ12という数字が見えても意味は違います。

たとえば、地震が10時19分50秒に発生し、P波が10時20分02秒に到着した場合、到着時刻の秒部分は2秒ですが、伝わった時間は2秒ではありません。

10時19分50秒から10時20分00秒まで10秒、そこから02秒まで2秒なので、

10+2=12秒

です。

時刻の秒部分だけを見るのではなく、時間線上の差を求めます。

使う:三つの基本型

例題1:同じ分の中

発生:14時05分10秒
P波到着:14時05分22秒
S波到着:14時05分31秒

  • P波:22−10=12秒
  • S波:31−10=21秒
  • 初期微動継続時間:31−22=9秒

速さの計算に使うのは、P波なら12秒、S波なら21秒です。

例題2:分をまたぐ

発生:9時59分54秒
P波到着:10時00分06秒
S波到着:10時00分14秒

発生から次の分まで6秒です。

  • P波:6+6=12秒
  • S波:6+14=20秒
  • 初期微動継続時間:14−6=8秒

例題3:小数秒

発生:10時12分03.5秒
P波到着:10時12分15.0秒
S波到着:10時12分22.5秒

  • P波:15.0−3.5=11.5秒
  • S波:22.5−3.5=19.0秒
  • 初期微動継続時間:22.5−15.0=7.5秒

問題に丸める指示がなければ、小数を勝手に整数へしません。

表にして区間を見えるようにする

求める量 始まり 終わり 計算
P波の伝わった時間 地震発生 P波到着 P到着−発生
S波の伝わった時間 地震発生 S波到着 S到着−発生
初期微動継続時間 P波到着 S波到着 S到着−P到着

迷ったら、公式を思い出す前に「始まり」と「終わり」を書きます。

転用する:発生時刻がない資料

P波到着が12秒、S波到着が20秒とだけ示され、地震発生時刻が分からない場合を考えます。

初期微動継続時間は、

20−12=8秒

と求められます。

しかし、P波が震源から何秒かかって届いたかは、発生時刻がないと決まりません。したがって、震源距離だけが与えられても、この情報だけからP波の速さを計算することはできません。

資料が足りないときに数値を作らず、「発生時刻が必要」と言えることも重要です。

別の表記でも時間線へ直す

発生が「午前10時03分」、到着が「10:03:12」と表記される場合も、同じ時計上へそろえます。

また、発生からの経過時間が最初から0秒、P波到着が11秒、S波到着が19秒と示されるグラフなら、すでに始点が0秒です。

  • P波の伝わった時間:11秒
  • S波の伝わった時間:19秒
  • 初期微動継続時間:8秒

表記が違っても、どの時点を0とするかを確認します。

誤答を原因から直そう

誤答1:P波到着が10時20分12秒だから、伝わった時間は12秒

発生が10時20分00秒なら正しいですが、発生時刻が違えば変わります。必ず到着−発生を計算します。

誤答2:S波の伝わった時間はS到着−P到着

それは初期微動継続時間です。S波も地震発生時刻からS波到着まで測ります。

誤答3:分をまたぐので06−54=−48秒

時計は60秒で次の分へ進みます。次の分までと、その後に分けて足します。

誤答4:P波とS波の始点を別々にする

同じ地震による波なので、中学理科のこのモデルでは共通の地震発生時刻を始点にします。

誤答5:発生時刻がなくても速さを計算する

距離÷時間の「時間」が求められません。必要な情報が不足しています。

自分で完成させよう

発生:11時08分57.5秒
P波到着:11時09分09.0秒
S波到着:11時09分17.5秒

P波の伝わった時間57.5秒から次の分まで2.5秒、その後9.0秒なので、11.5秒です。
S波の伝わった時間2.5+17.5=20.0秒です。
初期微動継続時間17.5−9.0=8.5秒です。

このレッスンの理解チェック

確認1:P波の伝わった時間の始まりと終わりは?地震発生時刻からP波到着時刻までです。
確認2:S波の伝わった時間はS波到着−P波到着?違います。それは初期微動継続時間です。S波の伝わった時間はS波到着−地震発生です。
確認3:発生10:00:00、P到着10:00:14、S到着10:00:23なら?P波14秒、S波23秒、初期微動継続時間9秒です。
確認4:発生時刻がなければ何が求められない?各波が震源から観測地点まで伝わった時間と、それを使う速さが求められません。
確認5:分またぎで安全な方法は?いったん次の分までの時間と、次の分から到着までの時間に分けて足します。

次のレッスンへ

今回は、地震発生時刻を共通の始点にし、P波・S波それぞれの伝わった時間を到着時刻との差として求めました。

次は、震源距離をP波の伝わった時間で割り、P波の平均の速さをkm/sで求めます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。